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42.懐かしい ページ2

懐かしい夢だ、いつもの悪夢じゃない。


短刀の皆と庭先でかくれんぼをしていると、父様に見つかって、もうそろそろ仕事に戻りなさいと言われる。


せめてこのかくれんぼが終わるまでは待って欲しい、と伝えると、父様は仕方なさそうに笑って、私の頭を撫でた。


そうして私は、短刀の誰かが探しに来るのを待ち続ける。


待ち続けて、待ち続けて。


……待ち続けても、誰も来なくて。


もしかしてもうかくれんぼは終わりなのかと思って、隠れていた所から這い出でると、何故か本丸の空気は澱んでいて。


いつの間にか自分はゲートの前に立っていた。


ああ、ここは、ここにいるということは。


恐る恐る顔を上げると、私の身体は浮遊感に包まれ、そして目の前で……−−−−



刀が、折れる音、暗転。



「−−−父様ッ!!!」



一「……!?

主…………。」



「…………ぁ…?」



少女は薬研の診察のあと、いつの間にか眠っていたようだ。


傍には、突然大声をあげて飛び起きた少女にびっくりした様子の一期一振。


一瞬、彼の顔が父親の撥ねられた首と重なり、少女はひゅっと息を呑み、首元を凝視する。


当たり前だが一期の首には何の傷も無ければ、何事もなく普通に繋がっていた。



一「…加州殿に、様子を見てくるよう頼まれたのです。

もしかしたら魘されているかもしれないと。」



少女が夢を見る時、それは大体あの日の悪夢だ。


それを知ってか、清光は寝起きの少女にはあまり近付こうとしない。


夢の中の加州に殺されそうになったばかりなのに、現実でもすぐにまた加州清光に遭遇するのはよくないと思っての配慮だった。



「…私、どれくらい寝ていましたか?」



一「演練から帰還なされたのが夕方でしたが……。

もう皆、夕餉も食べ終えた頃です。」



「そんなに…ご飯、冷めちゃいましたよね。」



一「燭台切殿に言えば、執務室まで持ってきて下さると思います。

……呼んできますね。」



「あ……。」



執務室から出て行こうと立ち上がった一期に、少女は思わず手を伸ばす。


さっきの夢のせいか、父親が頭を撫でたきり、自分の前からいなくなってしまった、心にぽっかりと穴が開くような感覚が拭えないでいた。


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なつき - コメント失礼します。本当に面白かったです!過去に謀反を起こしてしまったけど最後まで主を守ろうとした加州、かっこよかったと思います!そして清光。主の事を思っていたからこそ距離を置いていたという所にキュンとしました!これからも頑張ってください!!! (2019年3月29日 21時) (レス) id: 096c0293d8 (このIDを非表示/違反報告)
- いい作品でした… (2019年3月26日 6時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
まりえもん。(プロフ) - 胸が苦しいです...、最後に清光くんの健気な主を守りたいという気持ちが本当に泣けます...素晴らしい作品を作者様、ありがとうございました (2018年12月9日 9時) (レス) id: 327421a364 (このIDを非表示/違反報告)
湖@清光可愛い鯰尾君可愛い亀ちゃん大好き!!! - そして最後もう一振りの清光…くっついて良かったです!やっと付き合えたね!おめでとう!!!って感じです。凄く良かったです! (2018年1月16日 0時) (レス) id: 073b3b6cdc (このIDを非表示/違反報告)
湖@清光可愛い鯰尾君可愛い亀ちゃん大好き!!! - 面白過ぎです!滅茶苦茶感動しました!泣きました…。これからも頑張って下さい!応援して居ます!この作品…大好きです…!清光が折れた時、いくらだめな事をしていても何で折れちゃったの!?って泣きました。 (2018年1月16日 0時) (レス) id: 073b3b6cdc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弓月 | 作成日時:2017年12月3日 1時

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