＊２０＊ ページ20
.
指定された店の個室に着くと、二宮さんはスマホを煽りながら「お疲れー」と言った。
「またお待たせしちゃいました。すみません」
和「大丈夫。俺もいま着いたところだから。
つーかAちゃん？いい加減、その敬語やめようか。ついでに“二宮さん”ってのも」
「…、何とお呼びしたら？」
和「何とでも。あ、“和くん”にする？」
「…じゃあニノちゃんで」
和「色気のねぇ呼び方だなー(笑)」
.
食べ物と飲み物を注文して、しばらく先日の取材の話をする。
「千花があんなに他人に心を開くのって珍しいんですよ？」と言うと、
「俺ってやっぱり罪づくりだよね」って満更でもない顔をした。
すると、“ニノちゃん”が話を切り出した。
和「で？Aちゃんがそんな寂しそうな目をしている訳ってなに？」
「…、にのみ、…ニノちゃんって直球ですね」
和「敬語もやめてー」
「…直球、だね？」
和「うん。回りくどいこと嫌いだから。それに、そのほうが話しやすいでしょ？」
「確かにそうだけど…、大した理由じゃないんですよ？」
和「うん？」
「…、…５年前に、付き合ってた彼が亡くなったんです」
「…ただ、それだけ」
.
.
和「…Aちゃん、大したことないことないじゃん」
「…、」
和「すっごく大好きだった人がいなくなっちゃったんでしょ？全然『大したこと』じゃん」
「……」
.
「…そのときは、確かに辛かったけど…」
「…でもいちばん辛かったことは、…彼を、忘れようとしたこと、…です」
.
.
ニノちゃんはビールを飲みながら、表情だけで『続けて？』と言った。
「…彼が亡くなった時、周りがみんな言うんです。
『まだ若いんだから、いくらでも次の出会いがあるから』
『新しい恋をしたら、元気になるから』って。
だから私も、必要以上に忘れなきゃ、忘れなきゃって思うようになって」
「…でも、忘れようとすればするほど、疑問が湧くんです」
「…私が彼を忘れちゃったら、…誰が、彼のことを覚えているんだろう？って…」
.
.
そこまで一気に話したら喉の奥がキュッとなったから
涙が溢れないように、慌てて俯いた。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 748人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハルキ(プロフ) - きょんきょんさん» きょんきょんさん、わざわざお越しいただきありがとうございます(*´ω｀)拙い処女作ですが、よろしければお読みください。いま続編を書いてるんですが、絶賛スランプ中ですよ(´▽｀)ｱﾊﾊ こんなしょうもない作者ですが、これからもよろしくお願いします☆ (2013年9月15日 11時) (
レス) id: bbd4c8a750 (このIDを非表示/違反報告)
きょんきょん(プロフ) - ハルキさん。「GLORY DAYS」のきょんきょんです。さっそく来ちゃいました♪と思ったら、くっぴー師匠に先越されてました(^^;) まだ途中までですが、とても読みごたえのあるお話ですね。ゆっくり読ませていただきますね〜♪これからもヨロシクです(^^) (2013年9月15日 10時) (レス) id: f5293e6b5d (このIDを非表示/違反報告)
くっぴー(プロフ) - 初めましてハルキさん♪お話読まさせて頂きました‥と言ってもまだ途中までなのですが^^;智くんがまだ自分の気持ちに気が付かずﾆﾉがしゃしゃり出てきた所(笑)まで一気読みしました。自然な文体に引き込まれるようです。最後まで読んでまたコメントさせて頂きますね！ (2013年9月15日 2時) (レス) id: 72a40c7b80 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます。初めてコメントいただいて、感謝感激です。いちばん最初って、勇気いりましたよね？本当に嬉しいです。初心者なのでよく仕組みがわかってないのですが、ほぼ毎日更新してますので、よかったら覗いてくださいね。 (2013年8月31日 15時) (レス) id: bbd4c8a750 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - もう…素敵です！しか言えません。 更新楽しみにしてます。 (2013年8月31日 14時) (携帯から) (レス) id: c4ce4123b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルキ
| 作成日時：2013年8月7日 2時
