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更衣室で着替えを終えると、紙袋の中を覗いてそっと包み紙を確認する。父以外の人にあげる初めてのチョコレートだ。受け取ってくれるだろうか。
更衣室から出ると、山本が「お疲れ様でーす……」と何やら恨めしげにバックヤードのパイプ椅子に腰かけて、GODIVAとコンビニのコラボの商品にがっついている。
「お、お疲れ」
「佐藤さんもコレ要ります？廃棄らしいんですけど」
「いや、私はいい」
「そうすか」
山本は何をイライラしているのだろうと見つめていると、店長が「山本くん、今年のバレンタイン廃棄のチョコだけなんだってさ」と苦笑いで教えてくれた。
私はそっと紙袋を背中に隠しながら、品出し前の平積みにされていたアルフォートをそっと手に持つ。ちらりと店長を見れば、苦笑いのままOKサインを私に向けてくれている。私のしようとしていることを汲み取って下さっているらしい。
「はい」
「え」
「朝までバイト頑張ってね」
「……」
彼の目の前にそれを置くと、山本はアルフォートの箱と私の顔を交互に見る。そして、「あざっす！！」とすごい勢いで頭を下げた。私からのこんなお菓子1つでここまで喜んでくれるなんて、もの好きだな。
山本は噛み締めるように「……あぁー頑張れるわぁ」とアルフォートを手に感激している。
「佐藤さん、迎えの人待ってるんじゃないの？」
「あっ！はい、お疲れ様でした」
店長の一声にはっとして、急いで出口へと向かう。山本と店長の「お疲れ様です！」「気をつけてね」という言葉を背に、急いでコンビニの入口の方へ回ると、もぐもぐと肉まんを食べている清川さんがいた。
私に気づいたように目線をこちらへ向けて軽く頭を下げる彼に、私もぺこっと頭を下げる。自然と上がる頬に、マスクをつけていて良かったなと初めて感染症に感謝したかもしれない。
「お疲れ様」
「ありがとうございます、寒い中おまたせしてすみません」
「余裕よ、道民だからね」
「……北海道の人って、寒さ強いんですか？」
「いや、そうでもない」
ちぐはぐな会話に「何ですかそれ」と笑うと、清川さんも嬉しそうに笑った。肉まんを全部食べると、ゴミ箱に包みを捨てて「帰りますか」と歩き始める。
「よろしくお願いします、王子」
「……ねえ」
巫山戯て言ってみると、清川さんは照れたような怒ったようなトーンで私を振り返る。頭を掻きながら、「ホントにガラじゃねーんだけどな……」と困ったように笑って、改めて歩き始めた。
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parumu(プロフ) - かえる。さん» はじめまして！ありがとうございます(；＿；)♡これからも宜しくお願いします〜！！ (2022年8月28日 21時) (
レス) @page38 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
かえる。(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも楽しく読ませてもらっています！応援してます！ (2022年8月28日 21時) (レス) id: 06d9623eb5 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - いぬU・x・Uさん» はじめまして！そんなふうに言っていただけて嬉しいです(；；)まだ何も起きていない平和なお話なのですが、楽しく読んでいただけると嬉しいです！ぼちぼち頑張ります〜！ (2022年8月28日 21時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
いぬU・x・U(プロフ) - 初コメ失礼します…！とっても素敵なお話をありがとうございます！！これからも主さんのペースで更新応援しております〜！！ (2022年8月27日 13時) (レス) @page37 id: b1951e364b (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - リーフィア推しの【タクト】さん» そうなのです、読んでいただきありがとうございます🥰 (2022年5月24日 20時) (レス) @page29 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：parumu | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/parumu_u_62
作成日時：2022年4月23日 16時
