【ky】次のシフト、いつですか？

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「お疲れ様です」と言いながらバックヤードから中へ入ると、山本が休憩中だったらしく、スマホから顔を上げて「お疲れ様でーす」と挨拶をした。





「山本もう晩御飯食べた？」
「今からっす」
「一緒に食べよ」
「え、はい。……なんか佐藤さん最近ご機嫌ですよね」
「え、そう？」
「バイトとか最早作業みたいな感じで淡々とやってたのに、最近は何というか……朗らかです」





「バイト楽しいんすか？」と欠伸をしながら言う彼に、少し考える。確かに、お金を稼ぐ手段でしか無かったこの時間が毎日1番楽しみな時間に変わっているのは事実だった。意外と鋭い山本に「時給上がったからだよ」と言って適当にかわした。





「あ、佐藤さん山本くんお疲れ様」
「お疲れ」





私と同い年のバイトの山田さんが、シフトの交代の時間になったので控え室にやって来た。山田さんは私を見つけると、一目散に駆け寄ってきて「あの！」と懇願する顔をした。





「佐藤さん、今月の24日って暇？」
「え……なんで？」
「シフト15時から20時迄で入れてたんだけど、予定入っちゃって、佐藤さん代わってくれない？」
「私24日のお昼にシフト入ってるから、そこと交換で大丈夫？」
「勿論！ありがと〜！」





「店長には私から言っとくね」と言って嵐のように更衣室に入って行った彼女を見て、山本がははと笑いつつ、店頭に出るべく立ち上がった。私も彼の後を着いて行く。





「ありゃオトコですね」
「え？」
「イブの日の夜、突然予定が入ってバイト変わるとか、男でしょ絶対」
「……成程」





山本は苛ついたように「イブに入ったんなら責任持ってやり遂げやがれ」とぶつくさ言っている。多分、彼も15時から20時でイブにバイトを入れていたので、彼女が居ないやっかみだろう。思わず笑っていると、横目で睨まれた。





「佐藤さんは、イブの夜予定無いんすか。あんなほいほい変わって」
「無いよ」
「……」
「何？」
「いや別に」





何の感情なのか、私を見つめてくる山本に眉を顰めると、首を振って誤魔化された。
クリスマスイブ。彼氏や友達と集まってパーティーをする人達に憧れない訳では無いけれど、リナがクリスマスプレゼントやケーキやディナーを吟味している様子を見ると、そのお金勿体無いななんて思ってしまう辺り、やっぱり私はちょっとズレてるのかもなと思っていた。



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