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「A先輩、なんかあの、コピー機のスキャナの部分に挟まってたんすけど」
「ん？」
次の日のバイトも山本と一緒。私が寒さに凍えそうになりながらコンビニ周りの掃き掃除をしていると、山本が免許証片手にパタパタと駆け寄って来た。
コピー機の置き忘れはあるあるだ。個人情報に関わるものだったら一応金庫に入れて預かることになっている。
「後ろの金庫に入れといてくれる、あの店長の机の下の」
「あ、やば。ちょっと客来たんで入れといて貰えますか」
「お客様ね」
The温室育ちという感じのマイペース山本。私に免許証を無理矢理押し付けるとレジの方へ駆けて行く。
受け取った免許証を見ると、「あ」と声が零れた。礼儀正しい背の高いあの人じゃないかな。
いつもは口元にマスクをつけているけれど、切れ長の目と小さな顔は彼な気がする。「清川」と書かれた名前を見て、なんだか見てはならないものを見た気になる。
私のシフトの時間中に来るだろうか。そう思いながら私は一旦それをポケットにしまった。
コンビニでお客様の名前を意識することはなかったから、なんだか不思議な感じだ。忘れようとしても清川さんの名前が頭の中をぐるぐると回る。観察していても思うけれど、一人一人ちゃんと人生がある。
「いらっしゃいませ」
「あの」
「あ」
雑誌コーナーで今日発売のジャンプを開けて並べていると、コピー機あたりをきょろきょろ見回しながら声をかけてきたのは、清川さん(仮)だった。
私が思わず「清川さんですか？」と聞くと彼は眉間に皺を寄せて「え？」と聞き返す。待って、言われてみれば確かにおかしかったかもしれない。お客さんからしたら店員の顔なんていちいち覚えていない。いきなりそんな見ず知らずの人間に名前を呼ばれて、しかもほんとにこの人が清川さんなのかも確証はない。
「あ、申し訳ありません、先程、コピー機で免許証を見つけまして、お客様の忘れ物ですか？」
「あ！そうです！」
「よかったー……」と心底ほっとした顔でそれを受け取った清川さんは、「ありがとうございます」と深々頭を下げた。
私も慌てて頭を下げて、「いきなりお名前をお呼びして申し訳ありませんでした。こんな見ず知らずの人間にいきなり呼ばれたら怖いですよね」と必死に謝る。
「いや、大丈夫です。見ず知らずじゃないし、いつも会ってますし。佐藤、さん」
清川さんは私の名札を見ながら言うと「ありがとうございました」と言ってコンビニを出ていった。
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parumu(プロフ) - かえる。さん» はじめまして！ありがとうございます(；＿；)♡これからも宜しくお願いします〜！！ (2022年8月28日 21時) (
レス) @page38 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
かえる。(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも楽しく読ませてもらっています！応援してます！ (2022年8月28日 21時) (レス) id: 06d9623eb5 (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - いぬU・x・Uさん» はじめまして！そんなふうに言っていただけて嬉しいです(；；)まだ何も起きていない平和なお話なのですが、楽しく読んでいただけると嬉しいです！ぼちぼち頑張ります〜！ (2022年8月28日 21時) (レス) id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
いぬU・x・U(プロフ) - 初コメ失礼します…！とっても素敵なお話をありがとうございます！！これからも主さんのペースで更新応援しております〜！！ (2022年8月27日 13時) (レス) @page37 id: b1951e364b (このIDを非表示/違反報告)
parumu(プロフ) - リーフィア推しの【タクト】さん» そうなのです、読んでいただきありがとうございます🥰 (2022年5月24日 20時) (レス) @page29 id: 3fe3b17a70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：parumu | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/parumu_u_62
作成日時：2022年4月23日 16時
