またしても、恋愛の主役は我々だ！【短編集】 (ページ27)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:53,831 hit

後悔「しなくていいよ」kn ページ27

先月、友人であるコネシマに告白された。
彼はとても良い奴。
クラスの人気者だし、スポーツできる、頭も良い。
私は彼を好きだった。
だから、彼からの告白なんて本当に嬉しかった。

でも断った。

「なぁA。本当に返事変わらんの？」
「変わらんよ」
「本当に？」
「当たり前やん。何考えとんの」

彼を貶すように言葉を吐く。
本当は心苦しい。

「なんでそんなに俺を拒絶するん？ただ嫌いってわけじゃなさそうやし」
「いいからほっといてよ。振ったんやから」

と言っても、彼は私の両腕を掴む。

「嫌や。好きな奴が何か抱えてることは、晴らしてやりたい」

なんでそんなこと言うの。

「それを自己満足っていうんよ。それで私が助かると思ったら大間違いやで」
「でも、」
「もうほっといてや！！」

貴方がそんなこと言うから、もう耐えられなくなる。
ふりほどこうとしても、彼は絶対に私の腕を離さなかった。
それが本当に嬉しくて、悲しかった。

「……俺がAを幸せにするから。」

その言葉が、私の過去を深く抉った。
留め具がなくなったように私は喚いた。

「私と付き合った人、結局別れちゃうのよ！？
全部私が悪いの、愛想尽かしちゃう私が悪い！！！
皆、私のせいで辛い思いをする、
そんなことになるくらいだったら、私、誰とも付き合いたくない！！！！！」

一気に言い終わって、しばらくの沈黙が訪れる。
もちろん、腕はシッマに掴まれたままで。
うつむいて、シッマの顔は一切見れなかった。

.

「……そんなことか」
「…！なによ、人の悩み事を、そんなことって…」
「お前は自分を傷付けてばっかりや！
そんなん、愛想尽かせた相手が悪いやろ！！」

シッマは私を抱きしめた。
強く優しく、宥めるように。
そして彼は、私に言い聞かせるように言った。

「お前は、絶対別れないような男と結ばれればいいんや。
一生傍におれるような人と。

……そのための俺やろ。
俺はAを幸せにするし、そうすることで俺も幸せになる。
愛想は尽かせさせへんよ。
後悔なんてせんでええ。

お前、絶対俺のことずっと好きでいられると思うで。」

得意気に言い切る彼が、とても心強かった。
この人なら、一生愛せると思った。

「…私と、付き合ってくれるの？」
「おん、当たり前やろ」

.

.

彼は、私の頭を撫でた。