またしても、恋愛の主役は我々だ！【短編集】 (ページ22)

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その嘘はダメ ◆kn ページ22

今日は、彼女のAが俺ん家に遊びに来てる。

やんちゃな彼女は、俺の部屋に入るやいなやベッドに飛び込んで、布団にくるまりだした。
いかにも満足そうににへらと笑う。

「こらA…」
「えへへ～シマのにおい～」

やがて芋虫のようにうねうねし出した。

付き合う前はこんな可愛い子とかじゃなくて、大人しめの美しい子だったんやけどな。
まぁ、ギャップ萌えで更に好きになったけど。
むしろ、こういう可愛い子のほうが愛せる気がしてくる。

それでも、いつも俺はAに振り回されてる気がする。
デートも、Aは迷子になりかけるし、
何かと問題を起こす。

どうして俺を置いてくんだとでも聞くと、決まってAは

「シマ可愛いから、私が連れてかれるんやなくて、連れていきたくなる。」
なんて言う。

そんなこと言うAのほうが可愛いんやけど、
いつまでも「可愛いシマ」は嫌。

そんな俺の気は知らず、ベッドではしゃぐA。
その可愛さに、俺は、Aをちょっと困らせたくなった。

.

「…あのさ、いい加減そうやってはしゃぐのやめてくれる？
嫌なんだけど。」

そう、真顔で言った。
内心、笑ってしまいたかったけど、いつも俺を困らせる仕返しだ。

すると、Aはぽかんとして、

そして、口を開けたまま涙を流し始めた。
顔は整ったまま、唖然とした顔のまま、涙だけ溢れ出していく。

しまった、と思って、Aの近くまで言って、Aの涙を拭う。

「ごめんな、ちょっと困らせたかってん。ホンマごめん…」

そのままAを抱きしめた。
すると、Aは俺の背中に手を回す。

「冗談でそんなん言わんといて…
私、シマに嫌われたくないよ…」
「うん、ごめんな、嫌いやないから、泣かんといて…」

そっとAの頭を撫でる。

.

.

あかんわ。やっぱりAには敵わへん。

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そう思って、Aを抱きしめる力を強めた。