Hira`s story,5 ページ5
「「国を作る？」」
キヨとフジの声が揃った。
俺は、誇ったような態度で、胸を張った。
「そう！『セットキル』を抜け出して、俺達の王国を作るんだよ！
そうすれば、俺達なんでもし放題！殺人だって楽勝だよ！」
「でもさぁヒラ…」
フジが残念そうに呟く。
「『セットキル』からの脱退は難しいよ。
一度機密国家に入国したようなもんだ。
機密情報を知り得たままの脱退は許されない。
バレたら、もう一度働かされるか、実験体送りだよ。」
そう。
『セットキル』は、まさに闇企業。
それを弾圧できる国家は存在しておらず、『セットキル』の勢力は増すばかり。
一度は強い意思で入団をした俺達だけど、
抜け出したいと思ったことは何度もあった。
「ふっふっふっ…分かってないなぁフジは。」
「どういうこと？」
「だから作るんだよ…俺達の国を！」
そう言うと、キヨもフジも頭の上にはてなマークを浮かべた。
俺は説明を始める。
「もちろん、ここを抜け出したら『セットキル』は俺達を追うだろ？
それに対抗できる策を練らなきゃならない。
対抗できる術は、『国家設立』。
つまり、『国』で『企業』に対抗するんだ！」
「すげえなそれ！」
キヨは目を輝かせて立ち上がる。
フジは少々戸惑っているようだった。
「思ったけど、俺、殺人したことないんだけど…」
「あー確かにな。フジいつも薬品整備ばっかしてたな」
「なら、殺人国家を作ったときも、フジは裏方を担当してもらうよ」
「分かった。じゃあ、国家制作を初めに考えよう。抜け出す手段を考えるのはそれから。」
フジの提案に、俺とキヨはしっかりと頷いた。
続く (更新停止中)
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