Spy on the Mad Country. [ヒ.ジ.キ]

【調査書33枚目】 ページ33

でも、『**くん』って、誰？



思い出せない。辛い。



頭をいくら叩いても、蘇らない。



「ああもうやだ…分かんない…」

とりあえずキヨを待たせているので、キヨの出ていった脱衣所に入り、すぐに着替える。

外に出ると、まだ赤面顔のキヨがいた。

「…どうぞ」

「…あぁ」

キヨはうつ向いたまま脱衣所に入っていった。

部屋に戻って、モヤモヤを抱えたまま、ベッドにダイブする。



これじゃ諜報が上手くいかない…



捨てなきゃ。全部捨てなきゃ。



こんな感情も、邪魔な昔の夢も、全部。



「Aさん」

「…………フジさん？」

フジさんが、部屋に入ってきて、ヒラの状況報告をしてくれた。

「ついさっき目が覚めて…

『Aちゃんに謝っといて欲しい』

って言ってた。なんでだかは分からないけど…」

「…？」

どうして謝るんだろう？そんなことあった気はしない…。私の部屋で倒れたから？

「それと…俺からのお願いなんだけど……。







………ヒラになにかあったら、傍にいてやってほしいんだ。」

言葉の意味を理解して頷いたが、文章の意味は分からなかった。

なんでヒラの傍にいる人が私？

長年一緒にいるであろうフジや、キヨなのではないのか？



疑問が増えに増え、私は寝ることにした。

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