【調査書21枚目】※少し閲覧注意? ページ21
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その『地獄』に近付くに連れ、何かの呻き声が大きくなっている気がする。
呻き声にならないくらいの、雑音なのだが。
「……聴こえるでしょ。さぁ、ここが『地獄』だよ。
___捕らえられた者は、ここで一生地獄を見るんだ。
なんの罪もない…………
_____"国民"がね。」
国民?!
何かの聞き間違いかと思ったが、違う。
今、ヒラは確かに「国民」と言った。
「…ビックリしてるね。ココは、キヨが独断で作ったんだ。
一時期、国民が異常に減る時があってね。
キヨは、俺達にも秘密にしていたんだよ。
ここで、拐った国民達に拷問を与えて、惨い殺人をしてることをね。
………覚悟は出来てるんでしょ?
さぁ、いくよ。」
鉄の大扉が開く。
_____まさに『地獄』だった。
遥か50m上の天井高く吊るしあげられ、「助けて」と言葉にならないほどうめく『何か』。
壁に張り付けられ、動き始めるチェーンソーに怯える女性や子供。
張り付けている釘は、腕、足、そして頭に深く突き刺さっていた。
深い人工の底無し沼に次々と落とされる男達。
最深部にキヨがいた。
キヨは、拷問の途中だった。
手術台に寝かせた男の老人を、鎌でゆっくりと2つに寸断していく。
じわじわと、苦しませるように、ゆっくりと。
死なない程度に、ゆっくり、ゆっくり。
老人は声を上げられる口がなく、顔面は鼻や目の位置が分からないほどグチャグチャだった。
だが、脳はまだ胴体と結んであって、
心臓と感覚神経はまだ生きているようだった。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"…………あぁ"……!」
言葉にならない叫び声…ただの空気の振動で喉が鳴っているだけの音にも聞こえたが、
ザシュ、と『何か』を切り裂く音と、その音が重なり、不協和音になる。
私は思わず耳と目を塞ぎ、その光景を拒絶した。
信じられない。コイツらは地下でこんなことを……!!
「あ?いたのかよ」
断絶を終えた返り血だらけのキヨがこちらに気付いた。
「……A?お前まで来たのかよ」
「……………」
声が出ない。「恐怖」ではなく、「憤怒」で。
「キヨ、そこまでにしておきなよ。今日はもう止めな」
「はいはい。じゃ帰るか」
鎌を肩にかけて、なんともない顔で出口に向かうキヨ。
「……Aさん、大丈夫?」
「………………はい」
キヨに振り上げたくなった拳を腰脇でギュッと握りしめ、『地獄』を去る。
もう、この光景は、二度と見たくない。
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ココ@ヒラ厨(プロフ) - うん。その方がいいと思う。よろ (2016年9月25日 14時) (レス) id: ea35fa2c7e (このIDを非表示/違反報告)
清香-きよか-(プロフ) - ココ@ヒラ厨さん» ん?続編作ったほうがいいの?過去編とか、本当にその後の物語とか (2016年9月19日 8時) (レス) id: 84c3aa1eff (このIDを非表示/違反報告)
ココ@ヒラ厨(プロフ) - あああああああああああああ・・・終わっちゃったよぉ。おもしかっったよお。(泣)本当におつかれ。次回作もぜったい見るね! (2016年9月18日 23時) (レス) id: ea35fa2c7e (このIDを非表示/違反報告)
ココ@ヒラ厨(プロフ) - 返信遅くなったわ。今までしらーっとしててごめんなw今回もおもしろかったよ。がんば (2016年9月17日 10時) (レス) id: ea35fa2c7e (このIDを非表示/違反報告)
清香-きよか-(プロフ) - ココ@ヒラ厨さん» ありがとうございます!!明日は10時過ぎくらいにもうココの家行っちゃうから!!!!!!! (2016年9月10日 17時) (レス) id: 84c3aa1eff (このIDを非表示/違反報告)
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