本当の気持ち 〜your side〜 ページ47
通知が鳴った。我を忘れてスマホを見ると、ずっと観るのに臆していたキヨのシリーズものの動画が投稿されたという通知だった。
今ならきっと観れる。帰宅したら1から観ようと、あらかた計画を心の中で立てた。
だが、迂闊だった。
「俺の視聴者だったんですか？」
切なそうに訊いて来た。
キヨに気付かれてしまった。もう終わりだと思った。
綾鷹の時はなんとかごまかせたが、もはや成す術が無い…。
私は正直に伝えることにした、
『はい…私は…キヨさんの視聴者です』
その言葉を聞いたキヨは俯いてしまった。
あぁ…せっかく料理を作るって約束したのに…。また散歩しようとさっきまで話していたのに…。
だんだん目頭が熱くなってくるのを感じた。でも泣くわけには行かない。彼を騙してしまった大きな責任を負わなければならないから。
『ずっと黙っててごめんなさい！ 私はキヨさんを騙してしまいました…ほんとにごめんなさい…』
声が震えた。
『今まで…ありがとうございました…』
俯くキヨに向かって私は一礼した。
掃除道具を入れた鞄を肩に掛け、私はリビングのドアを開けた。
すると突然、腕を引かれた。
振り向くと、キヨが私の腕を掴んでいる。
「…か…ないで…」
聞き取れないほどの声で彼は言った。私は、覗き込むようにキヨを見た、
『キヨ…さん？』
「行かないでよ…俺の前から…居なくならないで」
キヨはゆっくりと顔を上げた。懇願するような眼差しで私を見、少し頬が赤らんでいた。私は何も言えなくなり、じっと見つめることしかできなかった。
「Aさんと初めて会った時、もし視聴者だったら追い出そうと考えてた。でも俺…！ ──ちょっと矛盾かもしんねえけど、俺は…Aが視聴者でも構わないって思ったんだ。Aが傍にいてくれたら、なんでも出来るって…。Aだったらどんな俺でも晒せるって…」
初めて呼び捨てにされた。一瞬気付かなかったほど自然だった。
胸がドキッとなった。
『わ…私は──』
とにかく何か応えようとすると、目の前が真っ暗になった。
「Aが好きだ…。料理や掃除が得意だからじゃない！ Aのすべてが…大好きなんだよ」
キヨの匂いが鼻腔をくすぐった。落ち着く香りに包まれながら、私は身体を委ねた。
ほんの一瞬の隙で、キヨに抱き寄せられていた。
胸の高鳴りが聞こえてしまわないか不安だったが、この際どうでもいい…。
私もキヨの事が好きだから。
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いと(プロフ) - 美李菜さん» 美李菜様、コメントありがとうございます！ キュンキュンしてくれて嬉しいです（？）続き、いつになるかは分かりませんが、折を見て書きたいと思います。最俺部分も書きたいなとは思っていますし、【レウガ】をまだ辞めてはいないのでね（笑）ありがとうございました！ (7月30日 8時) (
レス) id: 859fd3194a (このIDを非表示/違反報告)
美李菜(プロフ) - 完結おめでとうございます！キュンキュンしました！良かったら続きを書いてください！楽しみにしてます！ (7月29日 22時) (レス) @page50 id: 837e5cee0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年6月8日 10時
