自分でも驚く 〜your side〜 ページ29
明らかに白々しかったと、自分でも思う。
ドームイベントの話はもちろん知っていたので、知らないふりを貫くのに苦労した。
しかも、自分で正体を明らかにする寸前だったところを見ると、壁システムが取り払われたのだろう。
ただ、自衛まで気を許してしまっては危険だ。少々レトルトさんが危なっかしく思った。
そろそろ時間になったので荷物をまとめてお暇しようとすると、レトルトさんは「見送ります」と言ってきた。
3人全員、見送ってくれて少々申し訳なく思う。
キヨの時も感じたけど、こういう行動する依頼主は珍しい。
大多数の人は、代行内容が済んだら、用済みだと言わんばかりに冷たくなり、軽くあしらってくる。この5年で慣れたが、最初の頃は辛かった。
靴を履いて、レトルトさんに向き直り、挨拶をした、
『本日はありがとうございました。またのご利用をお待ちしております！』
「ありがとうございました！ 今度、ごはんも作ってもらっちゃおっかな」
『ぜひ！ お好きなお料理があれば、その時でもいいので、リクエストしてくださいね！』
「はーい！」
玄関のドアノブを引き、一礼するとレトルトさんは両手で手を振っていた。
軽くこちらも手を振り返すと、キリっとした目を更に細くさせて満面の笑みになった。
3時間前の彼とは大違いだった。
────────────────
時間があったので、私は会社に戻った。建物の前で、香織と鉢合わせした。
『あっ、香織ちゃん、お疲れ！』
「お疲れ〜！ はぁ…」
大荷物を肩にかけ直しながら、香織が溜息を洩らした。『どうしたの』と聞くと神妙な顔で応えた、
「昨日の夜さ、風見さんが依頼主に襲われたらしいんよ」
風見さんとは、【レウガ】で働く先輩だ。
うちの会社には香織と由紀以外に所員は3人いる。料理が得意で、料理代行専業で回ってる。
そんな風見さんが襲われたらしいのだ。
『え！？』
「大丈夫、未遂で終わったから。ちょうど奥さんと子供が帰って来て放してくれたんだと。最低だよね〜」
『最低！ ブラックリストに入れなきゃだね』
「せやね。──あっ、そろそろ行かなきゃ！ じゃ、いってきます！」
『いってらっしゃーい！』
駆け足で駅へ向かう香織の背中を見送りながら私は少し怖くなった。
余りそういうことは起こらないけど、1年に1回は最低最悪な依頼主にぶち当たる時がある。
明日はガッチマンさんのお宅だ。…私は何故か異様な緊張を感じた。
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いと(プロフ) - 美李菜さん» 美李菜様、コメントありがとうございます！ キュンキュンしてくれて嬉しいです（？）続き、いつになるかは分かりませんが、折を見て書きたいと思います。最俺部分も書きたいなとは思っていますし、【レウガ】をまだ辞めてはいないのでね（笑）ありがとうございました！ (7月30日 8時) (
レス) id: 859fd3194a (このIDを非表示/違反報告)
美李菜(プロフ) - 完結おめでとうございます！キュンキュンしました！良かったら続きを書いてください！楽しみにしてます！ (7月29日 22時) (レス) @page50 id: 837e5cee0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年6月8日 10時
