・ 〜your side〜 ページ23
「Aさん、好きなゲームって何？」
『え？』
唐突に質問され、私は菜箸を落としそうになった。
買い出しから帰って来て1時間後。
あらかた、料理を4膳分作り、今はブリのあら煮を鍋でぐつぐつ煮込んでいる。
答えに戸惑っていると、牛沢さんは続けて質問して来た、
「ゲーム実況とか観る？」
一体、牛沢さんは何を考えているのだろうか？ それに、さっきまでの敬語は消え、タメ口で話すようになっている。
ただし、その話し方のほうが牛沢さん“らしさ”が感じられて、少し和んだのは内緒。
火を弱火にし、私はキッチンから少し離れて、牛沢さんの前に立った。
不本意だが、私は嘘をつこうと思い立った。“あの日”の二の舞は御免だから。
『観ませn──「うそだね」』
被せるように牛沢さんが突っかかって来た。
束の間、ぐつぐつと煮込む鍋の音しか聞こえなくなった。
牛沢さんはダイニングテーブルから私を凝視し続けている。
低いその声と端正な顔立ちに見つめられて、不覚にも胸がドキドキした。ファンじゃなくたって、誰でもこんな気持ちになると思う。
牛沢さんはテーブルの上で手を組みながら続けた、
「知ってると思うけど、俺はキヨの紹介でAさんを指名した」
『はい…ありがとうございます』
「あいつさ、相当嬉しかったのか、色んな話を俺たちにしてきた。しかも具体的にね。どんな話をしただの、どんな料理を作ってくれただの、取れなかったテーブルの汚れが消えただのって。あ、あと……綾鷹のことも」
牛沢さんは綾鷹の話をしたところで言葉を切った。その目はドラマで見る探偵のように鋭かった。
私は、なんとか悟らせないように目線を下にした。
「俺が牛沢だってこと、Aさんは知ってるんだろ？」
生唾を呑み込んだ。
バレてる？
今日一日、なんとか牛沢さんを本名の苗字で呼んではいるものの、呼び慣れなくてまごついてしまっていた。それで気付いたというのだろうか。それとも──。
応えに迷っていると、
「まっ、別に応えなくたっていいよ」
『え？』
「俺が勝手にそう推理しただけだし、キヨにはこの事を言わないから。──ああ、他の2人にもね」
『そ、そうですか…』
ぎこちなげに持ち場に戻り、私は料理を再開した。
気まずい空気が、一気に部屋中を覆った。
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いと(プロフ) - 美李菜さん» 美李菜様、コメントありがとうございます！ キュンキュンしてくれて嬉しいです（？）続き、いつになるかは分かりませんが、折を見て書きたいと思います。最俺部分も書きたいなとは思っていますし、【レウガ】をまだ辞めてはいないのでね（笑）ありがとうございました！ (7月30日 8時) (
レス) id: 859fd3194a (このIDを非表示/違反報告)
美李菜(プロフ) - 完結おめでとうございます！キュンキュンしました！良かったら続きを書いてください！楽しみにしてます！ (7月29日 22時) (レス) @page50 id: 837e5cee0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いと | 作成日時：2023年6月8日 10時
