・ 〜ky side〜 ページ16
マ○カーの編集は1時間前に終え、全通しで確認もし終わった。
無言の部分もあえて少しだけ残し、ほとんどカットしなかったから、なっげぇLoadingを棄てても45分の動画に仕上がった。
この瞬間が俺は好きだった。
一つの動画を仕上げ、それを投稿して視聴者に観てもらう。日頃の疲れをただ忘れて、楽しく観てくれたら俺は嬉しい。
パソコンを閉じると、鼻腔に広がる、いい匂いが部屋を満たしていることに気付いた。
時刻は13時を回っており、編集に集中しすぎて飯を食うのも忘れていた。
──いつものことだけどな?
「昼飯どうしよかな。1週間分のストックしか依頼してないから作ってくれているとは考えにくい。…買いに行くか!」
財布を掴んでズボンのポッケに入れ、俺は部屋のドアノブに手を掛けた。
そういえば、ノックした音がしたな。どうしたんだろう?
「呼びました?」
リビングに顔を出すと、飯屋のような匂いに包まれていて、嗅いだだけで腹が鳴りそうだった。
ドアの方を向いたAさんは一瞬、不安げな表情だった。ノックしてすぐ、俺が反応しなかったからそんな顔をさせたのかな…?
『お昼、召しあがりますか? こんな時間ですし、よければと思いまして』
お盆を掲げながら、Aさんが言った。
俺は、初めて母親以外が作る手料理に嬉しくなって「ほんとっすか? 食べたいです!」と即答した。多分めちゃくちゃキモイ笑い方していたかもしれない。
彼女は更に笑い、
『よかったです! 今準備しますね?』
と言った。胸がまたキュっとなった。
…何なんだろう、この気持ちは…。
俺は気を取り直して、綺麗になったテーブルの前にあぐらをかいた。
テーブルの端にあった、こびりついた謎の汚れが無くなっていて、思わず指でキュッキュッと鳴らした。先に見てしまったが、この際仕方ない。
しばらくすると、Aさんが目の前にお盆を置いてくれた。
『お口に合うといいのですが』という言葉の後、俺は思わず「わぁ〜」とガキみてえな反応をしてしまった。
豚肉と大根の煮込みかな? めっちゃ好みな見た目と匂いだ。副菜もほうれん草のお浸し、ごはんも大盛りだった。
手を合わせ「いだたきます!」というと、後ろから『どうぞ』と聞こえた。
一口サイズに切られている大根を豚肉と一緒に口に運んだ。
「うま…」
めっちゃくちゃ美味しい。俺好みの味付けだった。どこか懐かしくて、濃くも無く薄くも無い。
落ち着く味がした。
俺は夢中で食べ進めた。
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いと(プロフ) - 美李菜さん» 美李菜様、コメントありがとうございます! キュンキュンしてくれて嬉しいです(?)続き、いつになるかは分かりませんが、折を見て書きたいと思います。最俺部分も書きたいなとは思っていますし、【レウガ】をまだ辞めてはいないのでね(笑)ありがとうございました! (7月30日 8時) (レス) id: 859fd3194a (このIDを非表示/違反報告)
美李菜(プロフ) - 完結おめでとうございます!キュンキュンしました!良かったら続きを書いてください!楽しみにしてます! (7月29日 22時) (レス) @page50 id: 837e5cee0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いと | 作成日時:2023年6月8日 10時