私のこと ページ28
Aside
キ「…あのさ、俺らのこと話してもいいかな?」
その一言で私はお箸をとめた。
ガラッとその場の空気が変わった気がした。
母「何よ。お付き合いしてるってことでしょ?」
キ「それもあるけど、Aちゃんのことをさ、詳しく話とかないとなって。」
父「…何か問題があるのか?」
A「あ、あの!…私から、お話させてください。」
私自身を受け入れてもらう為にも、自分で話した方がいいと思った。
かなり緊張して乾いた口を開く。
A「…私は今年の2月頃、キヨくんに拾われました。死のうと思ってた中、キヨくんが見つけてくれて、私に居場所を与えてくれました。」
母「…え?どういうこと?」
父「ご家族は?」
キ「Aちゃんさ、家族に捨てられてんの。んで、ずっとおじいちゃんとおばあちゃんと暮らしてたんだけど、2人とも亡くなっちゃって、暮らしてた場所も家族が相続して、Aちゃんは居場所が無くてさ。」
お父さんとお母さんは眉をひそめて頷き、私の方を向いた。
やっぱり私、可哀想って思われるよね。
母「悲しい思いをしたのね。よく頑張ったね。」
父「うちの息子が助けられて良かった。」
優しく微笑みかけられる。
『頑張った』なんて、私死のうとしてた身なのに。
A「私は頑張ってないですよ…。キヨくんが居場所をくれて、生きる楽しみを教えてくれて、全部…キヨくんのおかげなんです。」
母「でも、そこから生きるのを頑張ったんでしょ?」
父「頑張ってなかったらここにいないからな。」
キ「そうだよ。Aちゃんは知らないことだらけの中で、いろんなことを覚えて頑張ってんだよ毎日。」
頑張ったら、ちゃんと褒めてくれる人がいる幸せ。
お母さんとお父さん2人とも優しくて、キヨくんが優しいのは2人の遺伝子を持ってるからなんだと改めて実感した。
父「ところで、Aちゃんは何歳だ?」
A「…19です。」
母「若いわね〜!って、あんた1歩間違えれば犯罪よ?」
キ「そうなんだよ。歳も離れてるから、認めてもらえるか不安でさ…。」
父「健全な付き合いなんだろ?じゃあ、何も言わん。」
母「私は大歓迎よ!娘が出来たみたいで嬉しい。」
A「あ、ありがとうございます!」
キ「なんで泣いてんの笑 泣き虫治ってないじゃん。」
だって、私にもお父さんとお母さんが出来たんだよ?
嬉しいに決まってる。
勝手にだけど、また新たな居場所が出来た気がした。
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ゑぬ(プロフ) - り なさん» コメントありがとうございます😭 1から読んでくださって感謝でしかないです🙇♀️ 読者の方のおかげで完走出来ました! ありがとうございました🙇♀️ (10月31日 15時) (レス) id: 467f387b94 (このIDを非表示/違反報告)
り な(プロフ) - シリーズ1から読んでいて二人が幸せになって良かったです。完走おめでとうございます!! (10月31日 13時) (レス) @page50 id: 916a2c7fc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゑぬ | 作成日時:2022年7月23日 21時