128話 ページ5
「ごめんお待たせ、待った?」
そう言って俺より少しあとにやってきたA。
元々時間なんて決めてないし、女子だから俺より遅れる方が可能性高いし、全然気にしてなはないんだけど…
(あー、私服可愛いな)
自分でもひどいなって分かるくらいAのことが好きな自分に引いてしまう。
部内恋愛だし、俺以外にもAのこと好きな人いるし、周りから見たら俺がAのこと好きなのは結構あからさまだしで、難関ばっかだから、何回も諦めようとしたけど、諦めきれない。
じゃあ行くか、と国見からのプレゼントに書かれた目的地へと向かう。
国見が一緒に行くのかと思ってたけど、そうじゃなかったから俺が声をかけた。
まあ国見のおかげってこと。
渡にも申し訳ない、なんて思ってたけど、帰り道話を聞いてると渡は恋愛感情の好きではないと思うって言ってて少し安心した。
断言されたわけじゃないし、これからかわるかもしれないけど、束の間の安心ってやつかな。
正直、白布よりも誰よりも、渡が1番敵わなさそうなんだよな…なんでか。
他愛もない話をしながらも、俺の頭の中を占めるのはAをどうやって花火大会に誘うかってことで、たまに話に詰まってしまう。
その度にどうしたの?なんて聞かれて危うく言いそうになったけど、墓穴を掘る前にスイパラについた。
周りはカップルか女子同士かが殆どの席を占めていて俺的にはちょっと気まずかったけど、それよりも優越感が勝った。
俺はあんまりスイーツは食べなかったけど、Aは幸せそうに食べてて、俺も見てて幸せになった。
「ごめんね、なんか付き合ってもらって
誕生日だからってお金まで払ってもらっちゃって」
「いや全然 誕生日だしな
あー、A、その」
しどろもどろになってしまう俺に首を傾げるA。ちゃんと言わないと、覚悟してきたんだし。
「A、花火大会誰かと行く予定?
もしなかったら、一緒に行きたいなー、なんて、思ってたり、するんだけ、ど」
最後の方は声がか細くなって、我ながらクソだっせーな、と思ってしまう。
「誘ってくれてありがとう
行く人自体はいないんだけど、私、賢二郎を誘ってみようかなって、思ってて、今、なんか微妙な雰囲気だから少しでも仲直り…っていうのかな、したくて だから、ごめ「俺、絶対白布と行くよりも楽しく居れるよ」
遮ってしまって口を開く。
止めねーと、なんて考えるだけで止まらなかった。
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作者名:moi | 作成日時:2018年9月28日 22時