少しずつ、前へ向かって【ハイキュー】 (ページ2)

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125話ページ2

ぽけーっとなんとも形容しがたいように過ごしてきた1週間の終わりの金曜日、金田一に土曜日の部活一緒に行きませんか、と誘われた。

「でも、金田一の家と私の家って反対方向じゃない？」

「そんなの、俺が迎えに行きますよ
Aさんと一緒に行くなんて、初めてのことだし」

ほんっと金田一は可愛いなあ、って思いながらありがとう、じゃあお願いね、とジャグの準備に取り掛かる。

ジャグの中に粉末を適量入れてーっと。
ふんふん、なんて鼻歌を歌いながらぐるぐる回して溶かしていく。

ん、溶けたかな。
多分もういい感じだから、ホースを持ってウォータークーラーのところに行く。

で、さきっちょをさしてもう方いっぽを持ちながらジャグに入れていい感じにしていく。

薄いだとか濃いだとかまだ言われて事ないから、味については多分大丈夫だろう。

まあ、言ってくるような人達でもなさそうだけど。

8Ｌのところの線を目安にお水を止める。
ふとグラウンドを見てみると、サッカー部のマネージャーちゃんが仲睦まじそうにゼッケンを干していた。

「やっぱ、羨ましいなあ」

「なにがー？」

その声にびっくりして振り返ると、湯田先輩がいた。

「わ、ゆー先輩ごめんなさい、ジャグ遅かったですよね
まだ1個しか出来てないんで、ちょっとだけ待っててほしいです」

「わー！いいよいいよ！俺が話しかけたくて話しかけただけだし！
外の風邪が浴びたくなって来たら、きりゅちゃんがいただけだよーんで、何が羨ましいの？」

目をキラキラさせながら聞いてくるゆー先輩。もとい湯田先輩。

なぜゆー先輩って呼んでいるかと言うと、まあ私のことをきりゅちゃんって呼ぶからその流れ？

「…一緒に働けるマネージャーちゃんがいるの、羨ましいなあって思ってたんです」

「！！！ごめんなぁきりゅちゃー！
俺らの代が1人もマネ入ってまともに仕事しなかったからだなぁ…！きりゅちゃんに寂しい思いをさせてしまった…不覚…」

「いやいやいや、ゆー先輩は悪くないんで、顔上げてください
ある意味、1人だけだったんでみなさんと仲良くなれたかもですし」

そう言うと後で自分から照れてきて顔をそむけてしまう。
けどニヤニヤしながら私を見てきてゆー先輩は、私の頭をわしゃわしゃして、満足したかのような笑顔で去っていった。

嵐のような人だなあ…あ、ジャグ持ってこーっと。