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○春夏秋冬過ごしてみた【gtmn】 ページ46

【gtmn side】

「くっそ暑い…」

「その前にさぁ、なんで水着じゃないの？」

手で影を作って太陽を避けているつもりであろうAは、Tシャツにジーパンという目の前の大海原に似合わない格好をしている。そんなAに拗ねた風に言ってみるけど、聞いていないみたいだ。俺がわざわざ海パン買ったのが馬鹿らしく思えてくる。

「Aどーする？お腹空いた？」

「空いた！から海の家行こっ！」

と急に元気になったAは走って海の家へと向かった。あーあ、今日も振り回されるのかぁと思ったけど、相手がAだから嫌な気がしなかった。
海の家は混んでいて人がいっぱいだったから、はぐれないようにAを前に並ばして2人でラーメンを食べて一緒に海の家を出た…までは覚えてる。

「どこ行ったんだよ…」

海の家を出てしばらく歩いてAがいないのに気付いた。やっぱ手繋げば良かったなと思いつつ、Aを探すために走り出そうとした時、その背中を見つけた。

「A！…え」

と思って肩を掴んだけど、それは知らない人で。そうだ、Aは無地のTシャツだけどこの人は後ろに絵が書いてある。

「すみません、人違いでした。」

「彼女さんを探してるんですか？」

「あ、はい、まあ…貴女と後ろ姿がよく似てて。」

「ふふ、必死になって探すなんてよっぽど好きなんですね。」

人違いを謝ると、唐突に質問をされたので焦ったけど普通に答えた。どうやら俺はかなり余裕がなかったようだ。それが恥ずかしくて後頭部に手をやった。
その女性とは別れてさてもう1度探すか、と息を吐くと誰かに腕を引かれた。振り返るとそこにはAがいて、名前を呼ぼうとしたけどどこか様子がおかしい。

「…逆ナン？」

うつむいたAはそれしか言わなかったけど、それだけでも何を言いたいか分かった。

「大丈夫だよ、Aと間違って声かけちゃっただけ。」

「…ほんと？」

「うん。」

俺が頭を撫でながらさっきのことを言うと、少しだけ顔を上げたAは俺が頷いたのを見ると胸に飛び込んできた。
水着は見れなかったけど、やっぱりAは可愛い。

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