『キヨ』You're so evil ! (ページ9)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:10,821 hit

ё8 ページ9

数分歩いてたどり着いたのは近くの居酒屋だった。

(また居酒屋か…)

いったい1日何時間酒場で過ごすのだろう。

キヨ｢ここ。｣

そう言って名残惜しそうに私の手をそっと離すと、軽やかにお店のドアを押した。

また職場に戻ってきたような感覚がして、少しショックを受けた私だったが、1歩お店の中に足を踏み入れて目を丸くした。

そこには、うちとは比べ物にならないほど盛装された空間が広がっていた。
ホールは倍以上の大きさがあり、広々としたカウンターの奥のバックバーにはユニークなボトルがきっちりと並べられている。入手の難しいお酒も混ざっているのだろうと見て取れる。

全体的にシックな木材を貴重に作られており、電球色のダウンライトによく映える。
各テーブル上に取り付けられたペンダントライトも高やかな天井のおかげで全く圧迫感を感じさせない。

ゆったりと流れるバラードの効果もあり、非常に心地よいムードが作り出されている。
いかにも若者受けの良いお店だ。
カウンター席で数人、テーブル席で1組のお客さんが優雅にくつろいでいた。

が、例の実況者さん達は見当たらない。

キヨ｢2時閉店だからもう人少なくなってるけど、多い時は満席だったりするんだよな〜。｣

そう感心したように頷くと、慣れた足取りでずんずん店の奥に進んでいく。

どうやら個室を予約していたらしい。
進んだ先にはこの店の雰囲気には似合わない古風な襖があった。

拓弥がカタカタカタっとその襖を開けると、案の定そこには見たことのある人達が座っていた。