『キヨ』You're so evil ! (ページ3)

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拓弥はおかえりと一言告げると、またテレビに視線を戻した。

〜アマゾンに生きる！壮絶なサバイバルバトル！〜
よくある動物ドキュメンタリー番組。
実況動画中のキヨからは想像もつかない光景だ。狙った獲物は逃がさないといった目付きのジャガーが画面に映し出され、それを食い入るように見つめている。

どこか遠い国で、意思疎通も測れないような動物達が、殺し合いながら生きている。
ただ、それだけ。それのどこが面白いのか私には全く理解できない。

私は拓弥の向かいに座ると今日のディナーに目を向けた。思った通り、甘い香りのホワイトシチューと、ホカホカと白い湯気を上げる白飯。そして大好きなポテトサラダ。
私にはもったいないくらい最高の夕食だ。

A｢相変わらず料理上手だね。｣

褒められたのが嬉しかったのか、テレビを消すと私の方に体を向け、感想を求めてくる。

キヨ｢うまい？｣

私は1口シチューを頬張った。

A｢うん。美味しい。｣

そう言って少し笑って見せると、拓弥は私にもっと上手に笑い返した。

キヨ｢それは良かった。まぁ、俺が作ったんだから、美味しいのは当然だけどな。｣

A｢一言余計。｣

そう言いながら、美味しい夕食ををぱくぱくと食べ進める。この拓弥の料理の温もりが、冬の寒さで固まった体をゆっくりと溶かしてくれる。
テレビを見て興味のない振りをしていても、きっと私の帰ってくる時間に合わせて料理を温めてくれていたに違いない。

キヨ｢そ、そんなにうまいの…？｣

私が勢いよく食べる姿に驚いているのだろう。

A｢うん。美味しい。｣

それを聞いて拓弥は満足げにすると、何か企んだようにニヤッと笑った。