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キヨ視点
スマホを見ると、藤原からの電話だった。
キヨ｢ごめん。ちょっと出てくる。｣
そう言ってAのそばを離れ、廊下に出て電話をとる。
キヨ｢もしもし。｣
フジ｢清川、今大丈夫？｣
キヨ｢別に大丈夫だけど。｣
藤原からの電話は珍しい。
が、今日かかってくるだろうと予想はしていた。
フジ｢お前…どういうつもり…？｣
別に怒っているわけではなく、困惑したような弱腰で聞いてきた。
キヨ｢なんのこと？｣
わざとおどけてみる。
フジ｢いや、分かってんだろ…。今日の百瀬Aって子…、湊の妹だよな…。｣
百瀬 湊。高校時代、藤原と俺とよくつるんでた奴。
キヨ｢そうだよ。｣
フジ｢湊に連絡したの…？｣
キヨ｢してないけど。｣
フジ｢お前嘘だろ…。あんなに心配してるんだぞ…。｣
キヨ｢俺はAの味方だから。｣
電話の向こうで深いため息が聞こえる。
フジ｢まあ、清川がそうするんだったらそれでいいわ…。｣
キヨ｢俺たちは何も知らないってことになってる。変なこと吹き込むなよ。｣
フジ｢分かった…。じゃあまたな。｣
そう言って電話は切られた。
そして、急に不安になった。
俺はかなり声量があると言われるし、もしこの会話がAに聞こえていたらと考えると、鼓動が大きくなるのを感じた。
そっとダイニングを覗く。すると、Aはテーブルに伏せして寝ているようだった。
人心地ついて、声をかける。
キヨ｢おーい。こんなところで寝てると風邪ひくぞ！｣
Aはピクリともしない。熟睡しているらしい。それもそのはず。既に2時半を回っている。
心地よさげに小さな寝息を立てるAの艶やかな黒髪をそっと撫でた。落ち着く。
か弱いAの体をひょいと抱きかかえ、寝室のベッドに優しく寝かせると、愛おしい寝顔に話した。
キヨ｢ごめんな。俺、Aに隠してることたくさんあるんだよ。｣
そう洩らすと、Aを起こさないようにそっと家を出ていった。
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作者名：雪ノ宮霜 | 作成日時：2018年2月14日 21時
