『キヨ』You're so evil ! (ページ12)

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ё11 ページ12

高坂さんが衝撃的な一言を発した。

牛｢高坂、お前かなり酔ってんな〜。｣

佐々木さんが軽く流した。この様子だと、高坂さんは酔うといつもこんな感じになるようだ。よく見ると、頬が微かに紅潮している。
一瞬、本気かと思ってしまったので、少し安堵する。

その時正座した膝の上に置いていた右手に何か別の体温を感じた。

キヨ｢高坂さんはナイーブだからこいつの冷たい言葉に耐えられないと思うわ〜。｣

そうやって余裕そうに笑いながら、テーブルに隠れて私の手を強く乱暴に握っていた。
まるで誰にも渡さないと言いたげに。
まあそもそも、拓弥のものでもないが…。

手ばかり集中していると、今度は口元に何か当たった。
見ると拓弥がもう片方の手で私に焼き鳥を向けていた。

キヨ｢さっきから全然食べてないだろ。ほら、食べなよ。｣

そう言って閉じた口にグイグイ押し付けてくるので、先端の1切れを齧ってみる。
このコクのある味は正肉だろう。
かんでいる最中にも串を突っ込んでくるから食べずらくてしょうがない。

フジ｢見せつけてくんなぁ〜。｣

ニヤニヤする藤原さんに、実は会った時から疑問に思ってることがあった。
1本分最後まで食べ終わると、今日初めて自分から質問する。

A｢あの…藤原さん…。｣

フジ｢ん？何？｣

A｢私と藤原さんって以前に会ったことありますか…？｣

今日会ったばかりのはずなのに、ずっと藤原さんに既視感を感じていた。
それも勘違いでは済ませられないほど強く。
藤原さんは過去を振り返るように天井を眺めると困った顔をした。

フジ｢う〜ん。ないと思うけどなぁ…｣

A｢そ、そうですか…｣

家が近いのならば、スーパーで私がたまたま藤原さんを見ていた可能性もある。そう思うと少し納得した。

それからはダラダラと呑んだり食べたり話したりして、会はお開きになった。

もともとお酒には強くないのと、久しぶりにお酒を飲んだことで、少し頭が痛い。

キヨ｢じゃあ、俺はAを送っていくから。｣

拓弥はそう言って私に寄り添う。

牛｢いいな〜清川は。俺はなんで高坂なんか連れて帰らないと行けねんだよー！｣

佐々木さんは、酔っておぼつかない足取りの高坂さんの肩を嫌々支えると、タクシーを拾おうと大通りの方に歩いていった。

前田さんや平田さんもそれぞれの帰路を歩いていった。

ただ、藤原さんが、私たち2人のことを心配そうに眺めていることには気づかなかった。