【キIヨ】恋をした

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#キヨside

だらだらと集合場所に向かう。
まだ数分余裕がある、遅刻してないから偉いな、俺。

うっしーたちが話してる姿とか、いつものスタッフさんたちがいるのが目に入る。

ふと車のかげにあの女がいるのに気付く。

キ「お前何やってんの」
貴「…っ。おはようございます。みなさん待ってますよ…」

相変わらず笑ったりはしないけど、でも、無の表情じゃない。
少し、火照ってね？

キ「何お前、体調悪いの？」
貴「大丈夫なんで。お気になさらないでください」

おでこに手をおけば熱が伝わってくる。

キ「お前帰れよ」
貴「ごめんなさい。迷惑はかけないので行かせてください」
キ「何、そんなに俺らと旅行したい？」
貴「…そんな、仕事だから…」
キ「へー。うっしーとかが優しくしてくれるから一緒にいたいとかじゃねーの？」
貴「仕事に穴をあけるわけには…」
キ「体調崩しといてそんなこと言う？」

何言ってんだろうな、俺。
あ、でも俺だけがこの弱味握ってたら、いいかもしれねーな。

牛「キヨ、何してんの」
キ「あ、今ついたー」
牛「…遊びなら手出すなよ」

まーたそれか。

キ「別に手出してないから。気にしすぎ」
牛「…」
キ「あ、呼ばれてんぞ」

いつの間にかスタッフの中にあいつも戻っていて。
うっしーを連れて俺らもそっちに戻る。

牛「キヨには勝てる気しねーんだよ…」

後ろで小さくうっしーが呟いた言葉が聞こえた気がした。
でも、聞こえないふりをした。

勝つも負けるもないだろ。

だから、俺が引く必要だってない、はず。



「はい、出発出発」

スタッフの仕切りで車に乗り込む。
車での動画はまだ撮らないから、ということで、俺ら四人も二台にばらばらで乗り込む。

うっしーがあいつとおんなじ車を選ぶのはわかりきっていて俺もそっちに。

牛「…むかつくわ」
キ「そんな不貞腐れんなよww」
牛「キヨうぜーww」

後ろの席、隅っこで少し俯くあいつの横にさっと乗り込む。

牛「…なんで隣行くの」
キ「え、小田さん、いいでしょ？」

他の人に熱のことばれたくないでしょ、そんな顔で覗きこめば、私は大丈夫です、って。

車が走り始めて、うっしーとだらだらと話す。
横では小田さんが死んだかのように座ってる。

弱ってるときこそ、惚れやすくなるんじゃね？なんて。

うっしーに見えないように、そっと手を握る。

離そうとされるけどぎゅっと握れば諦めたのか受け入れてくる。

うっしーごめんね、やっぱりこいつで遊ばせてもらうわ。

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