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牛沢さんから話があったのは、旅行動画を撮りに行く際の同行であった。
牛沢さん、レトルトさん、キヨさん、ガッチマンさんのメンバーらしい。
担当する方が三人もいるんだから、私に話がまわってくるのもなんら不思議ではなくて。
すんなりと了承すれば、牛沢さんは満面の笑みになってくれた。
どれがこの人たちの本当の顔なんだろう。
牛「俺、せっかくだからもっと小田さんと距離縮めたいんですけど」
貴「え?」
牛「小田さんがどんな仕事してきて、どんな環境に慣れてて、とかわかんないから、図々しいこといってるのはわかるんですけど…」
貴「…でも、そうですね、ここでの在り方に私も慣れていきたいです」
牛「じゃあ、名前で呼んでもいいですか?」
貴「小田で十分では?」
牛「…距離縮めたいんすけど」
少しボリュームが下がりながらもそう伝えてくれる牛沢さんを見ていると、やっぱり、今までの世界とは違うんだ、と思い知らされる。
今までなんかより、演者とスタッフが近くにいる、それがここなんだ。
貴「Aと言います。小田A。26歳です。少し前までは、主にテレビでのお仕事をしてました。ですので、まだこちらでは至らない点も多くあると思いますが、よろしくお願いします」
にこりと言い切った、と、思う。
今まで自分のことをこんな風に伝える場面はなかった。
演者の方にとって、私たちは数多くいる中の一人だった。
牛「Aさん、か。よろしくお願いします」
ふわりと微笑んで呼ばれた名前。
自分の名前なのに、久々にこんな風に呼ばれた気がする。
「うっしーだけずるいわー!Aちゃんね!」
顔をあげれば、本日の出演者、レトルトさんの姿。
ぱっと立ち上がって席を譲ろうとすれば、大丈夫大丈夫、と座らされる。
牛「何、邪魔しにきたの?」
レ「今度俺だって行くんだから話したっていいでしょ、ねーAちゃん?」
この人は、ずかずかと踏み込んでくる。
でも、なんというか、嫌な感じがしないから、うまいんだと思う。
人の心に入り込むのが、うまい。
でもだから、少しだけ怖いかもしれない、いろんな事がばれてそうで。
牛「Aさん、ごめんね。あ、スタッフさんの打ち合わせ行かれます?」
貴「そうですね、そろそろ…。あ、あの…」
ん?と私を見る牛沢さん、と横にレトルトさん。
貴「あの、ご迷惑でなければ、私は敬語じゃなくて大丈夫です、ので…」
恥ずかしくなってさっと立ち去る。
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煎茶(プロフ) - コメント失礼いたします。三人の長所が絶妙なバランスで描かれていて至高の作品でした。この小説との出会いに感謝したいです。執筆お疲れ様でした。 (2018年8月27日 1時) (レス) id: ea34eab2cb (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - こねりさん» ありがとうございます(;_;)!!!内容が良い悪いはなんともいえないですか、いくつかお話は書かせていただいていますので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです(*^-^*) (2017年10月23日 2時) (レス) id: 1e43dca40b (このIDを非表示/違反報告)
こねり(プロフ) - とっても面白かったです...!!うっしーがいい人すぎで、思わず読んでて泣いてしまいました...。新作の方も読ませていただこうと思います!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: 8a30c5e030 (このIDを非表示/違反報告)
。。*ましゅまろん*。。 - ゆるさんの小説みてたら、下の告知がいないないばぁ!で笑いました笑 (2017年3月29日 15時) (レス) id: b56a98098d (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - 蒼乃さん» わかります!!!私も、他の方と交流すること全然なくてwwたくさんコメントでお邪魔しちゃいますね! (2016年12月21日 1時) (レス) id: 2348e913dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆる | 作成日時:2016年9月13日 3時