流された先は猿の家 ページ4
「ほら、着いたぞ」
『あ、ありがとうございます…』
車の窓からは喫茶どんぶらという文字が見える。
よしやっとだ、急いでシートベルトを外す。ドアレバーに手を掛けドアを開こうとしたら非常事態、ドアが開かない。
焦る私に、また桃井さんは腕を掴んできた。
「スマホを貸せ」
『なっなんでですか！？』
「良いから黙ってよこせ」
『ちょっ』
そう言って私のスマホが桃井さんの手に渡る。桃井さんの指が慣れた手つきで画面の上を動いていく。しばらくポチポチ操作しているとスマホが解放された。
「俺の連絡先だ。何かあったら掛けてこい」
『へ、ありがとうございます…？』
「は！足にでも何にでも使え、俺はあんたに惚れた。そうだA、お前を俺の伴侶にしてやる」
『何言ってるんですか！』
このままではやばい、私の脳人の本能が告げている。
勢いのまま桃井さんとハンドルの間に突っ込み運転席にあるロック解除のボタンを押す。ガチャ、ドアロックが外される音がしたので急いで身を引いた、そしてドアから転げ落ちる。
「おっと、君。大丈夫かい？」
バタンと地面に倒れ込んだ私を心配する声が上から聞こえてくる。やば、人に見られた。急いで体制を立て直しその人に向き直す。
『は、はい！いや、大丈夫じゃないです！』
桃井さんから逃げないと…！なんて思う暇もなく気づけば目の前には車から降りた桃井さんが立っていた。
「おや、タロウ。奇遇だな、配達か？」
「違う。Aがここに用があるらしくて連れてきただけだ」
「ほう…。君が業務よりも私情を優先するなんて珍しいな」
この二人知り合いなの！？それよりも、桃井さんと話しているこの男の人、妙な風貌をしている。藍染の甚平着て、季節感の合わないネジマキを首からぶら下げてる。
「そうだな、ここで一句。配送屋…」
一瞬でわかった、この人は変人だ。
『あ、あの…』
「君は…」
『な、なんですか』
私の目線に合わせてしゃがみ込んだ男の人がジロジロと私の顔を見てくる。わ、よく見るとイケメンだ…。中身は変人だけど。
「おい。やめろ、お供」
桃井さんが間に割り込んでくる。今回ばかりは助かった。我に帰り急いで二人から距離を取る。
「Aは俺の伴侶だ、無闇に近づくな」
「伴侶？ということは君。桃井タロウの恋人なのか？」
『違います、今日知り合ったばかりです』
頭を振りに振りまくって否定をする。違う、断じて違う。私の思いを感じ取ったのか男の人は桃井さんに方に向き直す。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さもえど(プロフ) - ＊桜もち。さん» こちらこそこのような素敵なイベントに参加できてすごく嬉しいです…！わちゃわちゃ感はかなりイメージしながら書いたので気づいてもらえてハッピーです、ありがとうございます✨ (12月23日 12時) (
レス) @page12 id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
＊桜もち。(プロフ) - またまたイベント参加ありがとうございます✨ドンブラの皆のわちゃわちゃ感が本家様と凄く通ずる物があってとても面白いです！続き全力待機してます！！！ (12月23日 11時) (レス) @page12 id: 17da285f26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さもえど | 作成日時：2023年12月14日 15時
