生きてるおばけは生きている？2【mzmn】

【番外編】居場所2(12視点) ページ27

とりなん視点

『俺らが卒業したら、この部は好きにしてくれて構わん』

心を見透かされたようでどきりとした。

『……分かりました、入部しましょう』

俺がそう言うと、二人の顔がぱああ、と明るくなった。……気がした。相変わらず見えねぇけど。

『ありがとう！』

誰でもいい役目でも、自分が求められるのは正直悪い気はしなかった。

気がつけば、俺はとりなん……『鶏のなんこつから揚げ』なんてあだ名をつけられて、放課後は足しげく部室に通うようになっていた。

『とりなん』

そう呼ばれる度、忌み名から開放される気がしたんだ。

だが、何故だろう。本当の自分を失っていくような、身体の内側が音を立てて乾いていくような───奇妙な気持ちにも襲われた。

それでも、クソ……難易度が高いゲームを、わいわい騒ぎながらプレイするのは楽しかった。

そして、俺が高校生になって二度目の春が訪れた。


　
｢とりなん先生｣

愛の戦士の声で我に返る。

｢大丈夫ですか？｣

目の前には一年生が四人。

｢お、おう。すまん｣

四人のうち、一人は愛の戦士。俺の唯一の後輩になった物好き。

ほかの三人は……あれ、誰だっけか。

｢呼んどいて入部を部長が渋る、ってなんなん？俺もう帰りたいんやけど｣

一年生の一人が不服そうに言う。

ああ、そうだった。愛の戦士が勝手に新入部員候補を集めてきたんだった。せんたんの差し金に違いない。この部は、今年も廃部の危機に瀕してるからな……

俺の決意は変わらない。この部は今年で廃部にする。

楽しかった思い出に、上塗りをするのは野暮だと思う。何故か愛の戦士とかいう後輩が出来たが……とにかく、俺はこの部の最期を看取るつもりだ。

｢お前らには悪いが、今年は新入部員をとる気はないんだ｣

｢どうして……｣

｢どうして？俺が決めたからだよ｣

俺がそう言うと、別の一年生が噛み付いてきた。

｢えっ、じゃあなんで俺らを呼んだんです？まどろっこしい暗号まで作ってさぁ｣

｢……暗号？｣

話しについていけない。

｢だーかーら、これ！｣

つきつけられた紙には、支離滅裂な文章と数字が書いてあった。

｢なんだこれ？｣

｢え、部長さんが作ったんじゃないのけ｣

違う、そんなものは作っていない。愛の戦士を横目で見ると、そわそわと落ち着かない様子だ。

｢愛の戦士。お前だろ？この暗号を作ったの｣

｢違います｣

｢ほんとか？｣

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