【番外編】大海原へ2(2視点) ページ14
にどみ視点
放課後、俺は職員室に向かった。正直、メモのことはどうでもよくなっていたが『取りに来い』と言われたからには行くべきだろう。
「失礼します」
「お、来たね」
メモを返してもらい、職員室を出ようとすると真倉に呼び止められた。
「それ、解読できた?」
「解読……?」
「気づいてない?それ、暗号だよ。君宛ての」
メモをまじまじと見る。相変わらず意味不明な文字列だが、そう言われてみれば暗号のようにも見える。
「先生は分かっちゃったけど、最初しか読まなかったから。ヒントは50音表!じゃ!」
そう言い残し、真倉は職員室を去って行った。
廊下を歩きながらメモを眺める。
『まえきざ、くょえきあらあきう
ぐおめそうしけべすてどみて
1 』
50音表と対応させるか、順番に線をつないで図形を作る……といったあたりか。
「めんどくせ」
あほらしくなってきた。帰ろ。言いたいことがあるなら普通に伝えろよ。
そう思って顔を上げた瞬間、誰かにぶつかった。
「ってぇ!」
「ご、ごめん」
文句の一つでもつけてやろう、と思ったがその気持ちはしゅるしゅるとしぼんだ。
相手は俺よりも体格がよくて、連れがいたからだ。こういう奴に喧嘩売ってもロクなことにならん。
「……わりぃ」
つい謝ってしまう。情けねぇな俺。
「あの」
俺は話を切り上げようとしたが、ぶつかってきた奴が口を開いた。
「机に置いたの、見た?」
「……は?」
一瞬頭にクエスチョンマークが浮かんだが、すぐ理解した。
「お前け!?俺んとこに変なの置いたん!ああ、見たよ。おかげで授業中に恥かいたわ!言いたいことがあるならはっきり言え!まどろっこしい手ェ使うなよ!」
矢継ぎ早に言うと、野郎は面食らったようだった。連れも同じく、豆鉄砲をくらった鳩のような顔をしている。
次の瞬間、奴はくるりと背を向け走り出した。
「待て!」
追いかける俺……と、奴の連れ。
「どこ行くんだよ愛ゴリー!」
連れが叫ぶ。
愛ゴリ、と呼ばれた男は旧校舎へと逃げ込んだ。たんたんたん、と階段を登る足音がする。
運動が苦手な俺は、既に体力の限界を迎えていた。
手すりにぶらさがるように、階段を登る。
「大丈夫?」
いつの間にか俺を追い越していた奴の連れが、俺を見下ろしていた。
「俺、あいつがどこに行ったか分かるからさ。一緒に行こうか」
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学生 - 更新はストップされてるのですかね‥続き(?)というか番外編が見たいです! (2019年8月23日 14時) (レス) id: 7a8267348b (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - りびとさん» 回想編が必要か不安になっていたところなので、そう言っていただけると嬉しいです。季節の変わり目なのでお互い気をつけましょう! (2018年9月7日 18時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 空鳥さん» コメントありがとうございます。今の話が終わったらその二人パートの予定です、お楽しみに…… (2018年9月7日 18時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
りびと(プロフ) - 初コメ失礼します。更新ありがとうございます!今回もとっても面白いです。部員達の過去話も沢山聞けて嬉しいです!次の更新楽しみにしてます!!お身体壊さない程度に頑張ってください!!! (2018年9月2日 1時) (レス) id: f7d7becc38 (このIDを非表示/違反報告)
空鳥 - 初コメ失礼します!めっちゃ面白くてすごく好きです…!!つきよちゃんとズズくんの関係もこれからどうなるのかとか、こいろちゃんどうなったのかとか、気になること多くてやばいです…!!更新頑張ってください!ずっと待ってます! (2018年9月1日 22時) (レス) id: 03b59041ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカケヒトシ | 作成日時:2018年4月6日 17時