生きてるおばけは生きている？2【mzmn】

gobbed it 1(1視点) ページ11

せんたん視点

千田生徒達が先生に失礼なことを言ってしまった、と聞き心からお詫び申し上げます。指導が足りなかった、と恥じる次第です。彼らには、二度とこのようなことがないように指導致しました。本当に申し訳ありませんでした。

送信。宛先は女鹿先生。

まさか、部員達が僕と女鹿先生をくっつけようと画策するとは……彼女募集中、という発言は迂闊だったな。苦々しく噛み締める。

『また、本日は体に触れてしまい、申しわ』

途中まで打ち込んで消す。

これも迂闊だったよなぁ……思い出すだけで、身体が熱くなる。

気づいたら身体が動いていて、抱きしめていた。

セクハラと訴えられたら、どう考えても僕が不利になるだろう。いくら軽く腕をまわしただけで、身体は密着していない、といっても。

女鹿先生こんばんは。昼間は教師にふさわしくない態度をとってしまい、自らの至らなさを思い知りました。今、お話できるでしょうか
千田はい

怖い……戦々恐々としながら、着信ボタンを押す。

｢……もしもし｣

スマホ越しの女鹿先生の声は、かすれていて低く、感情を読み取ることができない。

｢こんばんは｣

とりあえず、相手の出方を伺う。

｢……あの｣

｢はい｣

息をのむ音。すこし湿っているように感じる。

｢ごめんなさい……私、私、教師、失格ですよね……すみません……｣

｢え｣

予想外だった。てっきり、部員の無礼か僕の不品行を責められると思ったのに。

｢大丈夫です。落ち着いて｣

｢……はい｣

しばしの沈黙の後、女鹿先生が口火を切った。

｢怒っているわけではないんです。部員達も、面白くなって歯止めがきかなくなっただけでしょうし｣

怒っているわけではない。その言葉、どこまで信じていいのだろうか。

｢私、夫を亡くしてまして。周囲から再婚を勧められることに、苛立っていて……｣

｢そうだったんですか｣

初めて聞く情報だった。……あれ。同い年くらいだと思っていたけれど、僕より年上？

｢なので、千田先生が嫌い……とかではないです。尊敬してます｣

ん？

｢でも、今はまだ……ごめんなさい｣

何のごめんなさいだ？もしかして……

｢ちょっと待ってください。僕、女鹿先生のこと何とも思ってないですよ｣

｢え｣

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