私はカンタに恋をした

12話 ページ12

『昨日はありがとうございました！本当に助かりました(*^^*)』

『いえいえ！雑巾なんて渡しちゃってごめんね笑
編集でわからないことあったらいつでも聞いて！』

『心強いです、ありがとうございます！』



カンタ君とのLINEは、何度読み直しても心がドキドキする。
最後に送られたLINEキャラクターのムーンのスタンプは、嬉しそうに笑っている。


このスタンプ…動画でカンタ君がよく使うって言ってたなぁ。


少しにやけてまたメッセージを読み返す。



でも、私にはカンタ君と話せた嬉しい気持ちに加えて、もっと話したい…という欲張りな気持ちが出てきていた。



カンタ君と奇跡的に出会えてから、今日は3日目の夜。


私とカンタ君のトークルームには、たった3つのメッセージと1つのスタンプしか表示されていなかった。



「メッセージしたいけど、何話せばいいかわからないよ…絶対忙しいだろうし。」



恋をするってこんなに難しいんだ…。
せっかく話せるようになっても、アタックの仕方すらわからない。


自分から恋をしなかった今までの自分を恨むと同時に、私にアタックしてくれた男子たちのことを少しだけ尊敬した。




「あ、8時だ！」
急いでYouTubeを開く。


私はカンタ君と出会ってからも欠かさず水溜りボンドの動画を見ている。


水溜りボンドを見るたびに、あの日出会った人は本当にカンタ君なんだ…と実感することができるから。



そして今日の動画はなんだろうと、ワクワクしながら画面を見ると…


「え！…これって…」


タイトルは
「臭い雑巾をトミーハウス全体に隠してみたドッキリ！www」、
サムネイルはあの日の雑巾を大量に抱えたカンタ君がしかめっ面で立っていた。


クスクス笑いながら早速動画を見てみる。
あの雑巾をこんな使い方するのはカンタ君しかいない。


でも、企画もトークも編集も全てが面白いはずなのに、今日はなんだか頭に内容が入ってこなかった。



この動画を編集しながら、カンタ君は私のこと思い出してくれたりしたのかなぁ。



っていう淡い期待が、私の頭を離れなかった。

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