私だってヒロインになりたい【宮侑】

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それと同時にクラスメイトが帰ってきた。









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「向井戸、怪我したらしいけど大丈夫なん？」






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普段は喋らない男子が、話しかけてきた。
多分私を見かけたんだと思う。









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『うん、挫いただけだから』

「おうそうか」







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うちのクラスの人は、凄いいい人の集まりだ。



クラスメイトが帰ってきちゃ
ほとんどの人が私に声をかけてくれた。






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「聞いたわ、怪我したんやって？」

「大丈夫？」




『うん、挫いただけだから大丈夫』







微笑めば、そっかって肩を落として
安心してくれる。









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「A、ほんまに大丈夫なん」

『大丈夫。挫いただけだし』







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美岬はさっきから、私の席から離れないでいる。

本当に私のこと好きだな。









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なんて微笑んでれば、

視界に入る大きな背中。









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「治、向井戸を助けたんやってな」

「男前やなあ」









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なんてクラスメイトに囲まれてた。









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いつの間に起きたんだろう。







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「まあ当たり前やろ」

「うわいちいちかっこいいのなんや！」









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男子たちと戯れている姿は、

やっぱり男子高校生って感じだ。









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「向井戸さん、」









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彼を見ていたら。横から名前が聞こえた。









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ゆらっと後ろで揺れるポニーテール。









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「足、痛いやろ」









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またあの光景がチラつく。





いないのに、彼女の隣に金髪の彼がいるように
見えてくる。









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「お大事にな」


『…ありがとう、齋藤さん』









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例えライバルだとしても、
彼女はやっぱり憎めない。






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嫌で嫌でたまらないけど、

本当に私を心配するような顔みたら
憎めないよ。








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「なんかあったら言ってな！」









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やっぱりこの子には勝てないなって思ってしまう

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