創造ヲスル ページ7
そう、クロウツが言うと、狐の少女は満足気に頷いて自分の近くに来た。
「ねぇねぇ、狐のおねーさん」
〔ん?なんじゃ?〕
おねーサンと呼ばれたのが嬉しかったのか、七本の尻尾を嬉しそうにゆっくり揺らして、笑いながら振り向いた。
「おねーさんの事、なんて呼べばいいの?」
〔…わしの、呼び名か……?〕
「…あの、談笑は後にしてもらっていいかな?」
準備というものを終えたクロウツが、苦笑して立ち上がった。というよりは、割れたティーカップを片付けただけなんだけど。
「今から始めるけど、入ったら1ヶ月は出てこられないからね?
後、無理に出ようとしない事。食事は給餌するから………これでいいかな?」
〔そうじゃのぅ…それが最善策であろう〕
なんだか二人は難しい話をしていてよく分からないが、1ヶ月くらい出られないところに行くらしい。
「…………それじゃあ、始めるよ…」
狐のおねーサンが笑顔で手を差し出してきたので、手を繋いだ。
…ふふ、と着物の裾で口元を隠して妖艶に笑ったその人は、やっぱり少女に見えるけれど、もっと長い間生きているんだろうなぁと改めて思う。
ひやっと冷たい何かが足に触れた、と思ったのが早いか遅いか、あっという間に辺りは水に包まれた。
隣には、笑みを崩さない狐の少女。
そして、どこからどこまでが水なのかも分からなくなった頃。
自分達の行く道を示すかのように、何もないところから炎が灯る。暖かな炎だった。
少女に手を引かれ、炎に導かれ、クいつの間にかロウツの居なくなったところで、ただひたすら地面か水の上なのかも分からないところを歩く。
その人が動く度に、リンと鈴の音がして、狐の少女が歌っている歌と合わせるように音を弾ませた。
〔……♪〜………お、さぁ、着いたぞ、空〕
自分達が辿りついた場所は、木で造られた平屋のような建物だった。
入口には朱い鳥居が建ち、その両側には椿の木が二本、中の建物を守るように植えられている。
地面はそのうち、石畳になり、周りには苔が生え、木が生え、林になり、森になり、山になり、土地になった。
〔…ようこそ♪創造の町へ……〕
椿の花を1つ愛おしそうに手に取り、一層笑みを深めた。
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『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» 照れる!!!((( (2016年2月7日 21時) (レス) id: d950e831b1 (このIDを非表示/違反報告)
梓裄乃 - 『 夜風 』さん» イケメンでふ…( イケメンなのでふ…! (2016年2月7日 21時) (レス) id: d21d4cb30a (このIDを非表示/違反報告)
『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» イケメンじゃないよう() (2016年2月7日 21時) (レス) id: d16a6852eb (このIDを非表示/違反報告)
梓裄乃 - 『 夜風 』さん» 京さん…!(トゥンク 京さんがイケメンすぎて…!辛い…! (2016年2月7日 21時) (レス) id: d21d4cb30a (このIDを非表示/違反報告)
『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» 見間違いじゃないぜ? (2016年2月7日 20時) (レス) id: d16a6852eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:化け狐 | 作成日時:2015年5月16日 17時