御花見 其ノ壱 ページ27
それは、ちょうど春のお話。
「見て見てー!桜咲いてルヨー!お花見お花見!!ねェ、行こうヨー!ねェってばー!」
久遠は洋服の裾をパタつかせながら、駄々をこねるように言葉を並べた。
「……………?…」
目の前に居る影は、言っている意味が分からないようだ。
まぁ、影に言っても仕方ないか。
影に「もう戻ってイイヨ」と伝え、どうしようかと思い悩む。
何がかと言うと、お花見だ。
ここ、スカアトリーでは、春になり暖かくなってきたので桜が咲いているのだ。
お花見と言えば、皆でワイワイ集まって酒盛り、美味しいご飯が食べられると期待していたのだが……
「誰も全然やってナイジャン!!!」
そう、戦闘狂が居たりするならスカアトリーは花見なんてしてる暇もなく事件が起きる事が多々ある。
今回は特に何も無いのだが、それは自分が知らないだけなのかもしれない。
行こうと思えばその人の家に押し掛けるのも容易い。でも一回、押し掛けたら不法侵入扱いされた事があったので、あまりやる気にはならなかった。
スカアトリーには地下もあるし、天空の国もある。海にだって森にだって町にだって必ず誰かしらが住んでいるものなのだ。
でも、まだ封印されている、という事になっていて誰も立ち入ろうとしない、誰も居ない場所があった。
『女神に封印されし安眠の地』
一部の者にはそう呼ばれているらしい。
そこにはアジムナーじゃない神様が、自分が安眠する為に神の国を封印して、未だに眠っているという。
これはカミュに聞いたから間違いない。
風の噂では、かなり人魚を気にかけて世話を焼いていたとかなんとか。その頃は激戦時代だったからラロアも……悪魔の戦闘狂も大活躍だったと聞いた。
美しい自然がそのまま残っていて、封印されていると思われているが、アジムナーが来てちゃっかり封印を解いたのか、いつの間にか女神の封印が緩んだのか、普通に入れるようになっていた。
その中の一角、美しい物が好きだった女神の趣味なのか、森の中は自然の芸術とでも言うのだろうか。素晴らしい光景が広がっていた。
桜の古木が花を見事に咲かせ、誰も居ないため独り占め出来るという特等席。
風に乗ってここへ来たかのように、徐々に黒い塊が久遠へと色を変えた。
誰も居ない事を確認し、古木の下に寝転んだ時だった。
誰の気配も無いのに、綺麗な歌声が聞こえてきて思わず飛び起きた。
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『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» 照れる!!!((( (2016年2月7日 21時) (レス) id: d950e831b1 (このIDを非表示/違反報告)
梓裄乃 - 『 夜風 』さん» イケメンでふ…( イケメンなのでふ…! (2016年2月7日 21時) (レス) id: d21d4cb30a (このIDを非表示/違反報告)
『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» イケメンじゃないよう() (2016年2月7日 21時) (レス) id: d16a6852eb (このIDを非表示/違反報告)
梓裄乃 - 『 夜風 』さん» 京さん…!(トゥンク 京さんがイケメンすぎて…!辛い…! (2016年2月7日 21時) (レス) id: d21d4cb30a (このIDを非表示/違反報告)
『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» 見間違いじゃないぜ? (2016年2月7日 20時) (レス) id: d16a6852eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:化け狐 | 作成日時:2015年5月16日 17時