帰っておいで ページ18
そう言うと、自分とクロウツを隔てるように、扉が現れた。
「…ははは……随分使いこないしてるじゃないか…」
扉の向こうから、クロウツの諦めにも似た、乾いた笑いが聞こえた。
想像が物を言うこの世界では、想像主が居なければその力が発揮出来ない。
だからクロウツはここから出た事が無いのだ。
自分自身の能力に縛られて、ここから出ること以外を叶える場所。
それはきっと
「…あーあー………僕も…出たかったなぁ…」
ある時、理不尽に壊れるのだろう。
「外が見れルナラ……全然イイジャン…」
クロウツの自傷めいた笑いが止まった。
「ジブンは今マデ…外を見た事が無かった……
知りたいとも…想像することも…しなかったヨ」
「……え…?」
「ソノ探究心、ソノ能力……ソレらが揃う運
ドレもジブンには無い物だ…
君は、恵まれてルンダヨ♪ジブンナンカヨリ、ズット」
下には下がいる。
自分は不幸だと思っても、もっと不幸な奴がいて、そいつはその不幸の中で、悪足掻きを続けながら1秒でも多く、生きようとしている。
下には、下がいた。
「僕は…………恵まれていた…の…?
…外を見たり……外を知りたいと思ったり…」
包帯で隠されているはずの表情が、なんとなく見えた気がした。
「ウンウン♪
ダカラソコで見ててヨ……ジブンがスカアトリーに行って楽しく遊んでくルからさ♪
子どもを見守るのも、親の役目ダモンネ♪」
返事を聞かずに、扉を開けた。
扉の先は、魔法と武器と殺意が飛び交うスカアトリー。
数多くの種族が、生きて、死んで、笑って、泣いて、喜んで、怒って、呆れて、飽きて、叫んで、照れて、恋をして、後悔して…
友情に価値を見出す者もいれば、戦いに価値を見出す者もいる。
そんな中にちょっと入って、美味しい物を喰べてくるだけだ。
「…僕が楽しくなるように、色々やってきてね!あと、ここは寂しいからたまには遊びに来てね!!…あと、喰べ過ぎちゃダメだよ!あとあと……」
…バタン
「アーアー……何言ってルか聞こえなかったナー
くろうつはせっかちナンダネー♪」
どこからか、鈴の音と一緒に椿の香りがする。
自分を呼ぶかのように、六花の言葉のように…
『……帰っておいで…久遠……』
その声に自分は引っ張られ…
「ナイケドネ!♪」
声と正反対の方向に歩き出す。
「ジブンは他人に道を作られルのが苦手デネ〜♪
呼ばれると行きたくなくナルンダヨ♪」
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『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» 照れる!!!((( (2016年2月7日 21時) (レス) id: d950e831b1 (このIDを非表示/違反報告)
梓裄乃 - 『 夜風 』さん» イケメンでふ…( イケメンなのでふ…! (2016年2月7日 21時) (レス) id: d21d4cb30a (このIDを非表示/違反報告)
『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» イケメンじゃないよう() (2016年2月7日 21時) (レス) id: d16a6852eb (このIDを非表示/違反報告)
梓裄乃 - 『 夜風 』さん» 京さん…!(トゥンク 京さんがイケメンすぎて…!辛い…! (2016年2月7日 21時) (レス) id: d21d4cb30a (このIDを非表示/違反報告)
『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» 見間違いじゃないぜ? (2016年2月7日 20時) (レス) id: d16a6852eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:化け狐 | 作成日時:2015年5月16日 17時