遊ブ事ヲスル ページ12
〔ネーネー!空!遊ボーヨー!〕
〔ソウダヨ!ソウダヨ!皆デ遊ボー!〕
〔ツマンナイヨー!暇ダヨー!〕
「…………」
三人から同時に揺すられる。
耳元で高めの声で話すので、かなり耳が痛い。
僕らは背丈もほとんど変わらないので、七尾が僕の遊び相手にいいと判断し、毎日昼寝しているところを起こされ、遊んでいる。
こんなに至近距離だと、時折、ふわっと椿の香りがしてくることがある。
そんな時はいつにも増して、お腹が減る。
…こんなふうに。
グゥゥゥゥウウウウ…
〔ア、空、オ腹減ッタノー?〕
〔結構大キカッタネー〕
〔白露ニ頼ンデ、ナンカ作ッテモラオーヨー〕
「…いや、大丈夫だよ……」
そういって、口を覆う。
思わずよだれが出てしまう。
頭では分かっていても、『喰べたい』と思わずにはいられないのだ。
僕はこの三人が好きだった。
遊んでくれるし、白露みたいに食事を押し付けたりしないし、七尾みたいに何も隠さず話してくれるし、クロウツみたいにブツブツ言わない。
そして、ずっと前に、誰かに教わった…
『生のある者は、喰べてはいけない』
これを必死に守っていた。
今まで、黒い兄弟達の中で生きていた。
遊んでもらった事など、もちろん一度もない。
ただ皆、喰べる事に必死で、僕も必死で、
生きる事に必死で。
そして、僕はいつも兄弟達の喰べ残ししか喰べられなかった。
体が小さいから。
ただ、喰べたかった。
お腹いっぱいに喰べたかった。
美味しいものをお腹いっぱいに喰べたかった。
.
「………僕の、何が、いけないの…」
食べたヒトビトの記憶。
幸せな記憶。
辛い記憶。
汚れた記憶。
悲しい記憶。
喰べて、寝る。
そして、ヒトビトの記憶が夢に出る。
笑って泣いて怒って苦しんで喜んで蔑んで妬んで憎んで踏んで踏まれて落とされて貶められて称えて褒められて
これは、僕には体験出来ない事を見た、罰なの?
「…僕が何を、したの……」
〔お前は〕
〔生まれてしまった〕
〔生まれるはずのない〕
〔影の子〕
〔なぁ、辛いのだろう?〕
「辛い」
〔さぁ、喰べてしまおう!
もう、楽になってしまおう!〕
………あぁ、そうか
〔そうじゃ…この三人を『食事』しろ…〕
辛くて悲しくて寂しくて憎くて妬ましくて泣きたくて羨ましくて心苦しくて…
…そうだ
どれもこれも
悲しみも辛さも空腹も
全部
喰べてしまおう
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『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» 照れる!!!((( (2016年2月7日 21時) (レス) id: d950e831b1 (このIDを非表示/違反報告)
梓裄乃 - 『 夜風 』さん» イケメンでふ…( イケメンなのでふ…! (2016年2月7日 21時) (レス) id: d21d4cb30a (このIDを非表示/違反報告)
『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» イケメンじゃないよう() (2016年2月7日 21時) (レス) id: d16a6852eb (このIDを非表示/違反報告)
梓裄乃 - 『 夜風 』さん» 京さん…!(トゥンク 京さんがイケメンすぎて…!辛い…! (2016年2月7日 21時) (レス) id: d21d4cb30a (このIDを非表示/違反報告)
『 夜風 』(プロフ) - 梓裄乃さん» 見間違いじゃないぜ? (2016年2月7日 20時) (レス) id: d16a6852eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:化け狐 | 作成日時:2015年5月16日 17時