♦08 ─ 快楽。 ページ8
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体を重ねることへの抵抗感なんてなかった。ぎしっ、ぎしっ、と鳴り響くスプリング音の煩わしさにも、慣れてしまった。
例え私が他の男に抱かれたって、彼らは何も言わない。だから私だって、彼らが他の女を抱いてたって、文句なんか言えない。けど、それでも時折我儘になりそうになる。もっと、と求めたくなる。存在を肯定してくれて、仮初の言葉でも必要だと言われて、私はそれで満足なはずなのに。
面倒臭い生き物に生まれてしまったな、とつくづく思う。
｢今、何考えてた？｣
｢ぅ、あ、｣
｢今だけはオレのこと考えててくれん？ね、A。お願いっ、｣
｢ろ、れんくっ、ぁ、まっ、｣
｢無理、待てん。Aってさ、いーっつも何考えてるか分からん顔しててさ。だから、今うれしーなとも思ってんだよ、オレ。｣
｢だめっ、や、んぅっ、｣
｢ん、………………そんな顔出来んだ、ははっ。すげぇ可愛い、｣
脳が、溶けそうになる。警告音を響かせて、エラーを吐き出していたのに、止まることを知らないようにと、甘い声が響いた。今日、初めて喋っただけの関係性が、こうなるのも別に珍しくなんてない。今に、始まったことでは無い。
いくら体を重ねたとこで、快楽に勝てるわけでもなければ慣れるわけでもなかった。手首をベッドに縫い付けられ、中途半端に脱がされている制服。お互いの息遣いが、保健室に響いている。グラウンドからの体育の掛け声に消えていることを願っていた。
感情を表に出さない方が良いって分かっていた。そうすると必死なんだって思われて、冷められるから。クラス内でも静かに端っこで、ただ息を殺していただけなのに、彼に見られているとは思っていなかった。意外だな、なんて思考回路も、押し込まれた瞬間にどろりと消えていく。
がりっ。
首元を噛まれる。食べられるかと思うほどの、痛み。ジクジクとしたような痛みのせいで、生きているんだと実感させられてしまう。絶え間ないような快感にだって限界はあるから、最後に抱きしめられてしまう。だから、首に腕をかけた。感情が無いわけじゃない、けど表に出すのは苦手だな、って思うから。
荒いような息が、耳元を掠める。それに身体を反応させれば、鼻先が触れ合い、唇を押し付けられた。きっとこんなの意味をなさない、と分かっていたのに。
でも、君に求められて嬉しかったのは嘘じゃないんだよ、ローレンくん。
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狸。(プロフ) - あさきさん» コメントありがとうございます〜❕そう言って貰えて嬉しいです🫶🏻ドロっとしたような感情だとか考え表現出来ているようで、嬉しいです🫶🏻チマチマとですが、更新していきたいと思います❕ (3月14日 19時) (
レス) @page11 id: d70759b3bd (このIDを非表示/違反報告)
あさき(プロフ) - ドロドロとした考え凄い好きです！！！(表現の仕方、すみません)続き楽しみにしてます！ (3月14日 17時) (レス) @page10 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狸。 | 作成日時：2024年3月8日 3時
