♦07 ─ 必要。 ページ7
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｢私の、存在証明と、必要って言葉です。｣
ゆらり、翡翠が歪んだ。それに少し笑いながら、体の向きをローレンくんへの向ける。私が求めているものはそれだけだった。その一言があれば、私はあなたのためになんだってする。ただのダメ女だと言われてしまえば終わりだが、少なからず私の延命措置であり、救済措置である。
それが無ければ、私はきっと生きていけないのだろう。世界の誰からも必要とされてない、と感じてしまえば、私は今すぐにでも海に飛び込む。冷たいような海底に沈んでいき、人魚姫の最後のようにと泡になって消える終わりを望むだけなのだ。
ローレンくんは、なんとも言えない顔をしていた。
ローレンくんってそんな顔するんだ、て思った。いつも笑って、ふざけて、明るくて。そういった、負の感情とは無縁の人間だと私は思っていた。お互いの煙草なんて既に携帯灰皿に破棄されており、私たちが関わるための時間は存在しない。5時間目の授業が、始まりそうになる。けど、見下ろしている翡翠からはどうにも逃げられる気がしなかった。
｢いつも、歳上ばっかなんだっけ。｣
｢そーですね。｣
｢同い歳とかは。｣
｢子供っぽいなって思っちゃうんです。あと、歳下も駄目。歳上の人達は、雑には扱わないので。なんて言うんですかね、責任感みたいな？｣
｢同い歳と、歳下ともシたん。｣
｢シてないですよ。印象的な話です。｣
｢じゃあさ、試してみんのはどー？オレとか、と。ちょっと今、河橋さんのこと放っておけないな、て思っちゃった。5時間目だとさ、保健室、センセーとか居ないんだよね。｣
｢…………………Aって、呼んでくれなきゃ、嫌です。私、｣
｢はは、…………………A。オレ、Aが必要。｣
同情、哀れみ、あとはなんだろ。彼の翡翠に映し出された感情を考えつつ、どうでもいいかと流している。手を伸ばされては、三つ編みに触れられ、指先で撫でられた。淡々としたような質疑応答が、まるで会社やバイトとかの面接のように思えて、無機質だとも感じた。
意味なんて、ないだろうに。
軽いような言葉でも良かった。そんな重さとか気にしたこともない。頬に手を添えられて、目尻を親指で撫でられる。可哀想と思われていることを感じつつも、私は必要の言葉に、簡単にも5時間目をサボることにしたの。
お互い、馬鹿だね、ローレンくん。
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狸。(プロフ) - あさきさん» コメントありがとうございます〜❕そう言って貰えて嬉しいです🫶🏻ドロっとしたような感情だとか考え表現出来ているようで、嬉しいです🫶🏻チマチマとですが、更新していきたいと思います❕ (3月14日 19時) (
レス) @page11 id: d70759b3bd (このIDを非表示/違反報告)
あさき(プロフ) - ドロドロとした考え凄い好きです！！！(表現の仕方、すみません)続き楽しみにしてます！ (3月14日 17時) (レス) @page10 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狸。 | 作成日時：2024年3月8日 3時
