♦21 ─ 狸。 ページ21
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生きていると、今この瞬間も存在していたのだと、証明するのはどうにも難しい。死亡届が出されてないんだから、生きているのでしょう？とされても、そんな話ではなくて。あーぁ、そうやって考えると余計にダメになってしまう。電子端末は、依然として震える気配がしなかった。
完全下校の時間まであと少し。目の前のオリバー先生は、決して私を必要とはしなかった。求めはするけど、必要とは言ってくれない。けど、それでもいいと思った。勝手に私が必要とされている、と思うだけでも、救われる所があるのだから。面倒くさいような感情ばかり抱いてしまって、なんとも生きにくい。やだね、人間っていうのは。
それに比べて、狸はいいなと羨ましく思う気持ちさえも、出てくる。
｢知ってますか。｣
｢うん？｣
｢狸って単独又はペアで行動するんですって。それでいてペアは相手が死ぬまで解消されることは無いんだそうです。……… 良いですね、死ぬまで肯定してくれるのって。｣
｢それって、結婚と同じじゃない？相手と別れるまで、死ぬまで解消されることはないわけだしさ。｣
｢でも、愛がないとダメじゃないですか。永遠の愛なんて、存在しないのに。｣
｢僕が得意のは英語だから、そこら辺は心理学の方に聞いてくれない？河橋には居るでしょ、｣
｢まぁ、居ますけど。｣
｢え、ホントにいるんだ。｣
｢そういう、真面目な人ほど、過ちを起こしたくなるんです。人間って、馬鹿ですね。｣
揺らぎそうな感情の先っぽが、水面へ落ちる。波紋を揺らし、広がっていくのを感じていた。諦観を滲ませたような感情、もうどうしようもない！と言えたのなら、救われていたのだろうか。ぼんやりと、そんなことばかり考える。
オリバー先生は、面白そうだと言いたげな顔をして、笑っていた。無邪気な子供のようにと笑うから、私よりも子供をしている気がしたの。変なの、て言ったのなら、少しは違う未来にでも辿り着いたのだろうか。
願ってばかり、叶えようともしない。どうか、と神様に願ったって、意味なんてないのだろう。神様がいるのなら是非聞きたいものだ。どうして私なんかを存在させたの、と問いかけても、気まぐれと答えてしまいそうだ。
望まれて生まれたのに、今度は否定するなんてあんまりだと思いませんか。
夕焼けに照らされた世界は、眩しくて目を細めてしまった。
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狸。(プロフ) - あさきさん» コメントありがとうございます〜❕そう言って貰えて嬉しいです🫶🏻ドロっとしたような感情だとか考え表現出来ているようで、嬉しいです🫶🏻チマチマとですが、更新していきたいと思います❕ (3月14日 19時) (
レス) @page11 id: d70759b3bd (このIDを非表示/違反報告)
あさき(プロフ) - ドロドロとした考え凄い好きです！！！(表現の仕方、すみません)続き楽しみにしてます！ (3月14日 17時) (レス) @page10 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狸。 | 作成日時：2024年3月8日 3時
