♦17 ─ 呼び出し。 ページ17
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生温いような風が頬を撫でた。揺らぐような意識の先っぽは、鐘の音に消えていく。意識を目の前に戻しつつも、少しばかり低いような声が響いた。｢河橋はこの後、準備室に来なさい。｣という言葉に、抜けたような声で｢分かりました。｣と返事をする。コソコソとしたような言葉に耳を傾けつつ、それに馬鹿らしいと言葉をこぼそうとしていた。
震えることのない端末に、少し寂しさを覚える。きりつー、れいーっとした気だるげな号令に従い、鞄を持っては教室から出る。
あの日以降、お昼休みに屋上。放課後に音楽室に顔を出すのが日課にはなっていた。それは、彼らからのお呼ばれがない日に限り、ではあるけど。煙草のことだろうか、それとも音楽室に楽器を勝手に置いたことだろうか。噂のことかもしれない、と思いつつ、私を呼び出した当人は、オリバー先生なので全ての可能性がゼロになる。
辿り着いた英語準備室。歳上は、一緒に居て気が楽だ。だからこそ、教師という存在は、私の延命措置を手助けする存在だと思っている。寄り添い、欲しい言葉を簡単にくれるような存在でもあるのだから。コンコンコン、と規則正しいノック。どうぞ、と言う言葉の後に扉を開けた先には、変わらぬような先生の姿。
｢失礼します、お呼びですか、オリバー先生。｣
｢もちろん呼びましたとも。思い当たることは、ある？｣
｢ありすぎて、分かりません。｣
｢はは、そう？｣
｢はい。｣
｢この前、ローレンとサボったでしょ、授業。その時のプリント、渡してないなと思ってさ。｣
｢プリント、あったんですね。｣
｢いい加減クラス内にお友達作りなさい。連絡ごと、困るよ。｣
｢別に、だって、私ではなくてもいいと思うので。｣
｢相変わらずだなぁ、そーゆー考え。友達は、代わりがきく存在？なら、普段してることもそうじゃないの。｣
｢それ、オリバー先生が言いますか。｣
カツンッ、と足音を響かせながら歩み寄る。引き出しから出されたプリントを手渡されては、綺麗にクリアファイルへとしまい込んだ。いい加減に、という言葉を投げられても、私はそんなことどうでもよかった。友情というものは浅はかで、壊れやすいものである。愛の方が壊れやすいが、それ以上に壊れやすいものである。
変わりませんけどね、別に。ただ、存在の重さが異なるでしょう？と話したのなら、オリバー先生はきっと、変な顔をするんだろうな、と思っているだけにした。
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狸。(プロフ) - あさきさん» コメントありがとうございます〜❕そう言って貰えて嬉しいです🫶🏻ドロっとしたような感情だとか考え表現出来ているようで、嬉しいです🫶🏻チマチマとですが、更新していきたいと思います❕ (3月14日 19時) (
レス) @page11 id: d70759b3bd (このIDを非表示/違反報告)
あさき(プロフ) - ドロドロとした考え凄い好きです！！！(表現の仕方、すみません)続き楽しみにしてます！ (3月14日 17時) (レス) @page10 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狸。 | 作成日時：2024年3月8日 3時
