フィクションをノンフィクションにはできない ページ15
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『…こんばんわ、恵』
「…おう」
夜。任務の場所となる豪邸の前で待ち合わせした私達。
夜のはずなのに、街頭と建物の明かりで眩しいだけじゃなく、がやがやと騒ぐ声も聞こえてくる。
『行こっか』と声をかければ、「おう」とぶっきらぼうな返事が返ってきて、豪邸へと歩みを進める。
だが、それ以上に問題なのは、恵がくそかっこいいということである。
恵前髪ちょっとあげてる!!分けてる!!めっちゃ良い!!タキシード?スーツ?わかんないけどめっちゃかっこいい!恵が恵じゃない!!
大人っぽすぎてやばい!
…それに比べ、私ときたら…
ちらりと自分の格好を足元から順に見ていく。
黒のレースと目立たない程度の赤に彩られたドレス、いつもはなんの手も施さない髪を結い上げ、花々が咲いたような髪飾りを挿した。いつもは絶対に履かないヒールも履いてみた。
……ちょっとは意識してもらえるかな、なんて、少女漫画みたいな幻想を抱いていた。
でも、やはりフィクションはフィクション。
現実の男子は鈍いのだ。しかも恵は……恵は、人の感情とか、そういうのは読めるけど、恋愛事には勘が働かないタイプだ。
なんて相性の悪い。と落ち込んでくる。
五条先生がせっかく買ってきてくれた高いドレスも、結い上げた髪も、髪飾りも、履きな慣れないヒールも、つけたり着たり履いたりする人間が私じゃ、廃れて見えてくる。
物が可哀想に見えてくる現状に、ため息が出てきそうだ。
『…はぁ…』
実際、出てしまったけども。
すると、黙って歩いていた恵が、ふと口を開いた。
「ずいぶんと洒落た格好してんだな」
『…え?…ああ、まあ、ドレスコード?あるらしいし…似合わなくても、着てくという現実しかないというか…』
あはは、と乾いた笑いが自分の口から吐いた息と共に流れ出る。
あ、やばい。自分で言ってて辛くなってきた。
恵は、さっきと変わらない様子で続けて言う。
「そうか?…俺は、似合ってると思うが」
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みかん狐。(プロフ) - ルルさん» えっ…ハマってもらえたことに嬉しいという感情しか生まれませんどうしましょう()続きが気になるほど…私も嬉しすぎて今日は夜しか寝れなそうですよ(?)コメント、閲覧有難う御座います!! (2022年2月26日 16時) (レス) id: af05efaa9e (このIDを非表示/違反報告)
ルル - ハマっちゃったんですけど!どうしたらいいんですか!?ハマっちゃったせいで続きが気になり、夜しか眠れないんですけど!??(??) すみません!更新待ってますね。 (2022年2月26日 15時) (レス) @page3 id: 0fb48e7dd1 (このIDを非表示/違反報告)
みかん狐。(プロフ) - RIOさん» えっ“好き”…!?いや、もう感極まってます今…()あと分かります…推しからの愛ほど尊いものはないっすよね…それがどんな愛だとしても()更新頑張らせていただきます!初コメ有難う御座います〜!! (2022年2月26日 8時) (レス) id: af05efaa9e (このIDを非表示/違反報告)
RIO - うっわ、めっちゃ好きなんですけど、、推しからの愛ってめっちゃ良いですね……あ、親愛とかも込で。更新頑張ってください! (2022年2月26日 8時) (レス) @page3 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん狐。 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/purerisu27/
作成日時:2022年2月25日 6時