《続》告る前に振られた。【伏黒恵】

秘めたい。 ページ13

次の日。


虎杖達は組み手をやっていた。

Aは記憶が戻ったし、怪我もほぼ治っていたので復帰して、今はパンダ先輩に投げられている。
その引き換えという感じで、俺は怪我で見学。



―――「アンタ…明日あの子に告ってきなさい！！」



…でも、俺はアイツに嫌われていないだろうか。
嫌われている可能性も捨てきれない。

一時期アイツに避けられていたし…



―――「アンタがウジウジしてるなんてキャラじゃないのよ！」




「…怖えモンは怖えんだよ…」




呟いて前を見れば、組み手をやって楽しそうに笑うアイツがいた。


好き、だ。


心の中ではいくらだって言えるが、口に出そうとした瞬間つっかえる。

恋してる人間全員こんな気持ちしてんのか。


…アイツも、そういう気持ちを持っているんだろうか。
この気持ちを、アイツは誰かに向けているんだろうか。


無意識にAを見つめていたらしく、Aと視線がかち合った。


『！』



すぐにふいっと顔を逸らされた。


「…」



この気持ちを、アイツが誰かに向けているとしたら。
…俺、なわけ無いか。

今の反応見て自分という選択肢を設けられるわけがねえ…



「はぁ……」


「あはっため息でっか〜」


ビクリと方が揺れる。
見れば、五条先生が俺を見下ろしてけらけらと笑っていた。



「…」

「そう睨まないでよ〜、恋のお悩みを聞きにきたのに。」

「無いです」


顔をそむけても、五条先生は変わらない様子で「顔に書いてあるのに。」と笑った。
…この余裕そうな態度が嫌いだ。



「…俺個人の問題ですよ。俺は、アイツが幸せでいてくれたらそれだけで良いんです。」

「綺麗事言うねえ。恵がそう思っても、周りがそうなるとは限らないでしょ」


また、俺は隠す


「…何が言いたいんですか？」

「またあの子が記憶を失ったり、彼氏ができちゃったりとか」

「……だから、何だって言うんですか。」



また、誰にも言えない。

いや…―――秘めておきたいっていうことにしておこう。










(そんなムスッとした表情で否定されても、信じられないんだけどね)

合同任務、再び→←喝というか、悪口

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