4.私の夢 ページ4
「………おめでとう」
驚きを隠せない表情を私はきっとしている。
でも、兄は遠い地でも私のことを思っていてくれたんだ。
私もうじうじしてても仕方ないね。
「もういいの。踊れなくても」
私の習い事はバレエだった。
優雅な世界だと思われているあの世界は実に残酷な世界。
コンクールの近くなったある日私はオーバーワークのせいで足首を捻り変な転び方をして足を骨折。
膝も打ち付けて全治3ヶ月の大怪我をした。
バレエの世界では
1日休めば自分がわかり
2日休めば仲間に悟られ
3日休めば観客に伝わるとまで言われている。
そんな世界で、しかも私のバレエ教室はコンクール入賞常連教室。
レベルが落ちるのは早かった。
踊れない私はせめても、レッスンだけは見に行った。しかし、仲間だと思っていた子達は私に手のひらを返した。
復帰してからもタオルやバレエシューズは良くなくなった。
だから、バレエは辞めた。
先生にはこのままいけばプロにもなれるかもしれないと言われていたがこれが私の限界だったのだ。
「でも、まだバレエ好きなんだろ?
じゃなきゃ部屋にバレエ用品を飾ったりしない」
兄には見透かされているようだ。
「人生は一度きりだ。
お前の進みたい未来を進め」
兄の言葉が引っかかっていた私の何かを解き背中を押した。
心が軽くなった。
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作者名:人間不信 | 作成日時:2015年3月12日 0時