漆 ページ9
目の前で血を流しピクリとも動かない女。
いや、母上。
その周りも血の海。
私は血塗れだった。
後ろからの視線。
鳴きやまないカラスの声。
ツンとくる血の臭い。
頭の中が真っ白だった。
護るどころか、皆殺していた。
ただ父上の遺体は見つからなかった。
私は辛い。痛い。怖い。感情の出し方が分からなくなった。
ひたすらカラスの鳴く方向へ歩き続けた。
そこからは記憶が抜けている。
いつの間にか牢獄の中にいる。
目の前には、私と瓜二つのような少女。
少女「気分はどう?」
『……。』
少女「貴方は骸。私も骸。」
『何それ…。』
骸「名前というもの。貴方も私も。」
それから私は、骸と生活をし、毎日のように人を殺していく。
青い髪、赤い目をした、私と瓜二つのような少女は表。人前に出て殺す。
一方、黒い髪、黒い目をした私は裏。
人前に出ず、ただ闇の中で殺す。
私達は裏表一体のような存在だった。
そして、感情を忘れた私は、ただの生きた屍だった。
月日が経ち、牢獄の見張りもするようになった私は、ある光景を見た。
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作者名:羽衣狐 | 作成日時:2019年1月24日 0時