Violeta 2

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『おれ、おれ、ヒョンにああやって抱っこされてるなんて思いもしなかった…はずかしい』


まだ重いであろう体をずるずると動かしながら1人で歩くユジンは相当ゴヌクにお姫様抱っこされたことに羞恥心を抱いた様子だった。特に私達もすることが無かったのでユジンの後をついて行っていたのだが、一向に後ろを振り向かない。途中で帰ってもバレないのではないかと思ったのは私だけでなかったそうで、帰る？とゴヌクが打診する。


『ヌナもヒョンもおれのことちゃんと部屋まで送ってから帰ってくださいね』


私たちの魂胆はバレていたようでユジンに阻止される。この後特に用事がないから私はいいけれども、ゴヌクの方をちらりと見ると捕まった、とも言いたげな顔をしていた。大マンネ様のご所望であれば従うしかない。
元より、体調の悪い中頑張ったユジンのワガママは聞く予定だったからなんの問題もない。


そういえば、ユジンと同部屋の人って誰って言ってたっけ、と以前の会話を思い返してみる。ジュンヒョンが居るから賑やかになるので夜行かないって話をしてて、あと一人、


『あ、ユジンおかえり。どこいってたの？体調は大丈夫？』


扉の空いた先でくるりと振り返ったのはテレだった。ジュンヒョンがテレの話を知っていたのは同じ部屋だったからかと1人で納得する。ユジンによって私は隠れていたけれどゴヌクは見えていたようでなんでゴヌク？と声をあげる。


『ユジン、すやすや寝てたんですよ。Aヌナのところで』


俺は運び役です、と参ったかのように肩をすくめるゴヌク。ユジンが歩き出すとほぼ同時にもう一度テレの声が聞こえてきた。


『…ユジンもだ、いいなあ。Aヌナの部、屋』


ユジンがベッドに向かったことにより私の姿が顕になってテレとしっかり目が合う。垂れて優しげな瞳はぱちくりと開かれていて、瞬きすることを忘れているみたいだった。魅力大きなお口をぱくぱくさせる様はまるで魚のようだ。


『ヌナ〜！！俺のダンス見てた？どうだった？』


そんなテレの様子は露知らず、ベッドから飛び降りて私の元に駆け寄るジュンヒョン。大きなしっぽが生えていたなら、左右に大きく振られているだろう。


『見てたよ〜。ジュンヒョンのダンス見てたら元気？エナジー貰える』


私の前で屈む彼は撫でて、との事だろう。頭をよしよしすると、へへ、と喜ぶので本当に大型犬のように可愛く見える。

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