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マスターの皆さんが私たちの目の前にやってきて、説明をする。2部屋あったことにより評価が異なった可能性を加味してもう一度片方の部屋の先生方がビデオを見て評価を行ったとのこと。まだここから下がるかもしれないと思い手に力が篭もる。
口を開いて放たれたのはマシューの名前。お願いだからこっちに来て欲しいと、懇願の目をマシューに向ける。先程よりも強く握りしめた自身の手は痛いくらいになっていた。
『オールスターです』
皆でわあっと盛り上がりマシューのところまで駆け寄る。本当に、本当によかった。自分のこと以上にこうやって上がれたことが嬉しい。ツーハオとマシュー。よく練習した2人と一緒にオールスターという輝かしい功績を手に入れることが出来たのが本当に喜ばしくて、マスターの皆さんが部屋を出ていったあとツーハオを引き連れてマシューに抱きつく。
咄嗟のことで少しだけ驚いたようにするマシューだけど、直ぐに受け入れて優しく抱き締め返してくれる。そんな私たちを少し上から包むように抱きしめるツーハオだけど、多分力加減を間違えているのだろう、少し痛い。顔を見上げるといつものようににこにこと笑っていたので本当に何も考えず喜んでいるのだろう。それならいいかと、気付かないふりをした。
最初は一緒に笑っていたのに、いつのまにか鼻をすする音が聞こえてマシューの顔を覗くと、静かに涙が頬を伝っていた。どうしたのかと尋ねてもふるふると弱々しく首を振り、マシューの手は私の背中を掴んで話さなかったので、優しく背中を摩る。
『Aヌナと、一緒にあがりたかったから、ほんとに嬉しくて、時間たって安心しちゃったら、止まんない』
だから顔見ないで、と声を啜りあげて言う様は、再評価を終えた瞬間の彼とは比べようがないほど小さく見えて、いつものふにゃふにゃと笑っているマシューからは想像つかない。
弟気質で甘え上手で、年上をよく揶揄うイメージが強いから、素直にただただ涙する彼の対処法が見つからず、私の方が慌ててしまう。
背中をひたすら擦りながら何か言うべきかと口を閉じては開けるの繰り返しを重ねていると、隣にいるツーハオがこそりと私に耳打ちする。
『何も言わなくても、Aがそうしてくれてるだけできっとマシューは十分だよ』
俺らだってそうでしょ?と私の頬をつんつんとつつくツーハオ。次は俺の番だとマシューの後ろに並ぶツーハオとマシューの対比が面白くて、なんだか笑ってしまった。
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RUNA(プロフ) - いえいえ教えてくれてありがとうございます! (2023年4月4日 15時) (レス) id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます。こちらの作品ではチャギはパクハのことになっております。分かりづらかったりミスしていましたら申し訳ございません。 (2023年4月3日 21時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - チャギってパクハでしたっけ? (2023年4月3日 13時) (レス) @page34 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 鈴木さん» コメントありがとうございます〜!そう言っていただけると嬉しいです(;;)これからもゆっくりと書いて行きますのでのんびりとお待ちいただけますと幸いです! (2023年3月30日 6時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
鈴木(プロフ) - クムとパクハが大好きすぎて頭抱えてます大好きです(;_;) チャギ呼びもクムの騒がしい感じも最高ですこれからも応援してます!!! (2023年3月27日 22時) (レス) id: 3e062d6061 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りあ | 作成日時:2023年3月17日 22時