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みんなの前ではかっこつけたけれど、本っ当に緊張した。
どくどくと鳴り止まない心臓は私の緊張具合を表していて、自覚が重なってさらに緊張が加速する、悪循環だ。
挨拶をして、マスターさんがご挨拶をされるまではアドレナリン出まくりで気づいていなかったけれど、心臓はうるさいし手は少しだけ震えている。今思えば人前で話したり踊ったりなんて月末評価ぶりだからだろう。何回も深呼吸して落ち着かせようとしていると、いつの間にか評価は始まっていた。
出てくる人はレベルが高い人もそうでない人もいて、実力に応じてクラス分けがされていく。事前に自己評価をしてからのテストだから、自分の実力が客観的に見て合致しているかをいやでも理解してしまうのが悲しいところだ。
上手な人は本当に上手で、自分の名前が呼ばれるのがどんどん嫌になってくる。ため息をついていると、隣からも同じタイミングで息を吐く音が聞こえてきた。どちらからともなく顔を見合せ、ふふ、と二人で笑いあった。
『緊張しちゃいますもんね、無意識に出ちゃってました』
『私もです、あまり慣れてないのもあって』
『そうなんですか?…Aさん、は何年生まれです?』
2001年だよ、と答えると目の前の彼はキラキラしてじゃあ僕のお姉さんですね、とにこやかに笑った。
『僕、ソクマシューっていいます、Aヌナって呼んでもいいですか?』
彼は足が長いのか座高が低く、必然的に私を上目遣いで見つめていて、男性に大っぴらに言う言葉ではないと思うけれど、とっても可愛い。そんなキラキラうるうるした目に私が勝てるはずもなく、いっぱい呼んで、と頭を撫でた。
『Aヌナァ、僕のこと子供扱いしてるでしょお、1歳しか変わらないのに』
『子供扱いじゃなくて、マシューが頑張って話しかけてくれたからいい子いい子してるんだよ〜』
ウリウリと頭を撫でているとボサボサになっちゃう、と身だしなみを整え始めた。そんな彼はまるで猫みたいで、髪を解いてるところにまた頭を撫でる。するとマシューはヌナァなんてぷりぷり怒ってくるのでそれがまた可愛くて。
未だに髪を触っているマシューがどこか面白くて、1人でくすくすと笑ってしまう。口元に運んだ手はいつの間にか震えが止まっていて、この感じだといつも通りできるかも、と心の中でマシューに感謝を告げた。
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てよん。(プロフ) - りあさん» エッ絶対そうですよね!?わかります、、同意しかないです。最近はこの小説を楽しみに生きてます!いつもありがとうございます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: d7164918de (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - てよん。さん» わかります...気づいたら沼でしたね...彼はほんとに嫌がられるまでは可愛くお願いするタイプだと思ってるので!!!(大声) (2023年3月12日 12時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
てよん。(プロフ) - りあさん» パクハの可愛さに気づいてからは終わりでした…本編チャギ呼び継続してくださって嬉しい限りです!!ほんと感謝、、生きていけます() (2023年3月10日 13時) (レス) id: d7164918de (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - てよん。さん» コメントありがとうございます!パクハ多方面のオタクを沼入りさせそう(偏見)って感じで私も滾ってますチャギ呼びどうしましょうかね...?(笑) (2023年3月9日 19時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - もえさん» コメントありがとうございます(;;)個人的にパクハ大好きですし書くのも楽しいので嬉しいです...! (2023年3月9日 19時) (レス) id: 103a13316a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りあ | 作成日時:2023年2月28日 21時