【男主】実況者界からの刺客とか聞いてない【歌い手】 (ページ7)

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８　居場所ページ7

「えぇー、まず、そこからぁー？天くんは、天月くん。歌い手の。来たでしょ？ダイレクトメール」

左手に持ったペットボトルをユラユラと揺らするい。
俺は、というと、中のコーラが零れないギリギリのラインを保ちながら、タプタプと音を立てる半透明な黒い飲料を見つめながら、それが零れないかどうか、ひやひやしていた。

『あま……あぁ、コラボをお願いしてきた人ね』

そろそろ、３週間ほど前になるためか、記憶も薄れていた。
「そそ。その子その子」と何度も、頭を縦に振る彼がなぜ、有名歌い手の天月さんとお友達かというと。

コイツは、ニコニコで、かなり有名なMIX師。
名前は、涙と書いて、ルイ。
俺の「ニア」のMIXもコイツにしてもらった。

動画の説明欄には、通りすがりのMIX氏と書いてあるが、それは、るい本人が名前は出さないでほしいとねだってきたからだ。
なんでも、自分のせいで、俺が有名になるのは、嫌だから、だそう。
まあ、俺が、そういう成り上がり方が嫌いだということをるいが知っていたから、なんだが。

「で！DMが返ってこないから、天くんがすっごい、心配してんの。だから、返してあげて」

『あー、はいはい。了解』

今すぐにでも、返そうと、スマホに手を取ったとき、るいが

「ね、春さあ、実況者、辞めんの？」

そう、聞いてきた。

『ああ、辞めるよ』

「そう。別に、僕は何とも思わないけど」

『知ってた』

此処には、いられなくなった。