イージーゲエム.【Kei.I】

32.大貴side ページ32

【い、いやいやいや！なんで……】

【なんでって長年見てたらわかるわ。しかもなーんか長く一緒にいただけあって拗らせてそうだし…どう後押ししようかと思ってたらAは新しい人できちゃうし。それに感化されてアンタ何かするのかと思ったら何もしないし……】

【何もって……】

【多分今が最後のチャンスだと思うわよ？Aが念のためにって今日慧さんと会う場所送ってくれたしそこ行くか今から電話かけるか………】

【いや】


俺の言葉を聞き、そこで一花はぴたりと話すのをやめた。


ああそうだった。ずっとずっと側で見てきた。俺はAがずっと好きで。



【俺、Aには笑顔でいてほしいんだ】



昨日会って喋って俺は確信した。

いつも恋愛に失敗するAの話を笑って聞いていた。


でも本当はそんな落ち込んでるAなんて見たくなくて。

本当は幸せそうなAを見たい。


そのためなら俺は自分の気持ちだって封じれる。




【めっちゃ大人びたこと言うじゃん笑う】

【いやいやおい！笑うなよ？！】

【んま！また一花様が可哀そうな大貴君には何かお酒でも奢ってやりますわ〜】

【マジ！やりぃ〜】




長年積み重ねた俺の気持ちはは彼女に伝える間もなく朽ちそうだけど、なんだかそれには何も悔いがない気がする。


だって彼女の幸せのためならやっぱり俺はいくらでも自分の身なんて引けちゃうからな。





だからどうか。


Aなりに納得いく幸せを掴みとってくれ。





一花と内容のない話をしながら心の中では今決戦の舞台にいるであろう彼女を応援する健気な俺であった←

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