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「何この重苦しい雰囲気は?」
数十分後。
大貴の連絡で一花が駆けつけてくれた時には、私と大貴の間にはとてつもなく重い空気が流れていて。
そして私は何も話さなくなってしまった大貴に変わって一花にこれまでの経緯を話した。
「はーなるほどねえ…そんで大貴は拗ねてるって訳か」
「拗ねてねえし」
「そうかあ、じゃあつまり慧君も所詮はただの馬だったってわけねえ」
「馬って」
「だって男なんて皆性。欲の塊、つまり馬なのよ。ねえ?大貴」
「俺はちげえよ」
「まあそんなことは置いといてさ、私が思うに今最も重要なのってAの気持ちだと思うのよね」
「私の……気持ち?」
「そう。こうなった今、慧さんに対してどんな気持ちになった?幻滅してもう二度と会いたくないの?それとも、もう一度会って話がしたい?」
そう一花に聞かれてみて、私はハッとした。
正直、今はもう恥ずかしくて合わせる顔がないっていうのが本音で。
こんな大事な記憶のない自分が情けないとしか思っていなくて。
慧君と次会いたいかどうかなんて考えてなくて。
所詮、マッチングアプリで出会った人。
そしてまだ二回しか会ったことがなくて、慧君の素性なんてわからない。
『男なんて所詮、馬』
そんな一花の言葉に当てはまるかって言われたらそうなのかもしれない。
実際、ホテルにいたわけだし。
でも………
「私、慧君はそんな人じゃないと思う………」
だって昨日、慧君は緊張してる私を見抜いてくれて、ありのままの私がいいって言ってくれた。
そして、私のめんどくさかったであろう、私の酒癖に付き合ってくれて。
きっと介抱までしてくれたんだと思う。
そんな彼を馬の一言で片づけるのはなんか違う気がして。
昨日の記憶がない、だからこそ。
「私、やっぱりもう一度慧君に会って話がしたい……」
それが私の本音だった。
「はぁ?!なぁ、Aお前、それ本気で言ってんのかよ?!」
大貴がそう言うのも無理はないかもしれない。
私だってたかがマッチングアプリで出会った人に執着するなんておかしいのかもしれない。
でも。
「よし。ただ、まだ慧さんには連絡しないで。一旦時間を空けよ。その方がAもいいでしょ?」
「うん…ありがとう、一花」
慧君を信じてみたい。
そう思った私の気持ちは嘘ではないから。
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犲(プロフ) - ただ、それが不愉快に思ったり苦手だと思う人がいるのだということを改めて知れた貴重な機会になりました。これからは気をつけて設定も設けていこうかと思います。わざわざご指摘ありがとうございました( ᵕ_ᵕ ) (2022年4月11日 14時) (レス) id: 4bea70bb47 (このIDを非表示/違反報告)
犲(プロフ) - 夕さん» すみません。私の作品ではいつも設定などを設けておらず、話を進めていくにつれて読者様に設定が伝わればいいなと思っていたのでそのような文言をこれまでのどの作品も設けておりませんでした。 (2022年4月11日 14時) (レス) id: 4bea70bb47 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - 続けてのコメントですみません(>_<) そうならそうで前もって紹介の所に書いていて 欲しかったです。。。 (2022年3月27日 7時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - おはようございます(*^^*) はじめまして。 早朝からいきなりすみません。。。 この物語って伊野尾さんも有岡さんも芸能人 (ジャニーズのアイドル)ではなくて一般人しかも学生さん設定だったんですね。 (2022年3月27日 7時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
犲(プロフ) - たまさん» たまさん…!最後まで読んでいただいて、コメントもありがとうございます😂久々のハピエンは私的にも違和感でした笑新作もう少ししたらTwitterの方でも予告動画あげようと思ってるのでまたぜひ見てください笑いつも本当にありがとうございます🙇⋱ (2022年1月10日 13時) (レス) id: 480fe28977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:犲 | 作成日時:2021年4月25日 15時