独占王子。4【Ryosuke.Y】

146.涼介side ページ8

「見つかったか…？！」

「いえ…全く見つかりません…！」


俺は舌打ちをした。



慧はあの女とつながってる。

それにここは…あの女の所有物みたいなものだ。

隠し部屋…などがあってもおかしくない。



Aが今、辛い思いをしてるのかと思うと＿＿＿＿


…辛い、思い？


俺はふと考えた。

実際、Aは辛い思いをしてるのか？


……Aは本当は慧と結ばれるのを望んでるんじゃないか？

俺らしくない考えだった。


でも、俺はAの気持ちを知らない。

ただただ、俺がAが欲しいだけで。

この俺の欲望は…Aにとったら迷惑なことかも。


じゃあ…？


「俺は…Aを助けても＿＿＿＿＿＿」


意味ないんじゃないか、そう言いかけた時。


「お前っ…！！それでも王子かよっ！！」

と聞こえてくる怒鳴り声。


「A…？」


どこかAに似た響きの声だった。

まるで…『人間失格』と言われた時のような声で。

…でも、声の主はAじゃなかった。



「お前は…」

「Aのこと、幸せにしてくれるんじゃないのかよ？！お前が諦めたら、Aを嫁にやる意味は何なんだよ…！」


それは俺に反抗し、妙にAに似てる奴。


「大地…」

「はぁっ、はぁっ…俺は…許さないからな…っ」


全力でここまで走ってきたのか息を切らしている。

でも、その強い眼差しは消えていなかった。


「俺だって好きでAを手放したいわけじゃない。
でも、Aの幸せは…」

「わかった。」


俺はそううなずいた。

大地の言いたいことは…痛いほどわかった。



「そうだよな。好きな女諦めるとか性に合わねぇ。」


もう迷っちゃいけない。


…俺は、決めたんだ。



必ず、Aを手に入れて見せるって。

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