144. ページ6
その声は、少し物音がしたら消えてしまいそうな、そんな小さい声。
でもどんな言葉よりも気持ちのこもった、想いがつまった言葉。
「慧…」
そう私が声をかけると。
「それくらいにしときなさい。慧。」
どこかから現れた整いすぎた顔の女の人。
「お母様…」
慧は私からパッと離れ、頭を垂れた。
「そこまで仲良くなったのなら安心だわ。第一子が生まれるのもそう遠くない未来のようね。」
「っ…!私は!第一子なんて…!」
「お黙りなさい。貴女は嫁いでくる身なんだから、口出しはしないで頂戴。」
こうして言い負けるのが悔しい。
「なんで、私と、慧なんですか。」
私はやっとの思いで口を開く。
「…本当は慧にも貴女を嫁に迎え入れてほしくないけれど。」
美和子さんはそこまで言うとにっこり笑った。
初めて会った時のあの刺々しい態度と違う…
「あの人は貴女が嫁じゃなきゃ三人の誰にも継がせる気はなさそうだもの。」
それに…と美和子さんは付け足した。
「下手して涼介に当主になってもらったら困るもの。」
_____?!
私は目を見開いた。
「美和子さんは…涼介を当主にする気じゃ…」
「なんであんな子に継がせなきゃならないの。あんな子が当主になったら山田家の恥だわ。」
そ、そんな…
私は知ってる。
涼介が小さい頃からどれだけ大人の期待に答えようと、実の父親、母親に認められようとして必死に頑張ってきたことを。
色んなものを犠牲にしたから、色んなことを知らずに生きてきたのに。
いらない、って思ったらすぐに捨てる?実の子供を?
「ありえない…!!」
私は強く、そう叫んだ。
618人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
犲(プロフ) - ハリネズミさん» 最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました!そんなに褒められたら私調子に乗っちゃいます←有岡落ちですね!かしこまりました!コメ本当に嬉しいです、ありがとうございました! (2019年8月21日 10時) (レス) id: c38e288aaf (このIDを非表示/違反報告)
犲(プロフ) - 知兎さん» ありがとうございます!最後まで読んでくださり、ほんとに感謝です!大好きだなんて言って貰えたらもう元気しか出ないです!嬉しいです!伊野尾オチですね!かしこまりました! (2019年8月21日 10時) (レス) id: c38e288aaf (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ(プロフ) - 完結お疲れ様です!とっても面白かったです!物語のストーリ製が高くて、話が出るのを毎日楽しみにしてました!!これからも頑張ってください!ちなみに…有岡オチが見たいです!!これからも頑張ってください! (2019年8月21日 1時) (レス) id: 1da1ed6b41 (このIDを非表示/違反報告)
知兎(プロフ) - 犲さん完結お疲れ様です!めっっちゃ感動しました!犲さんの作品、どれもほんとに大好きです!毎回とても楽しみにしてました!番外編楽しみにしてます!個人的には(どれも見たいのですが)伊野尾君オチがみたいです...。 (2019年8月20日 9時) (レス) id: f0a4086589 (このIDを非表示/違反報告)
犲(プロフ) - あかねさん» 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!有岡オチか、知念オチですね!かしこまりました!!いつになるかはわからないのですが、楽しみにしててください!コメント本当にありがとうございます! (2019年8月16日 18時) (レス) id: c38e288aaf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:犲 | 作成日時:2019年7月30日 19時